著者
田中 寧
出版者
京都産業大学
雑誌
京都産業大学論集. 社会科学系列 (ISSN:02879719)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.63-82, 2010-03

本稿の主旨は大学進学の経済的メリットを内部収益率の概念を使って説明することであるが、従来の内部収益率の定義にいくつかのバリエーションを加えた分析を試みた。費用については学費以外でも生活費や家庭の負担なども考慮し、賃金については産業別の賃金を使って、様々な内部収益率を算出した。 その結果、現在の日本では、(1)まだ大学進学に経済的メリットはあるが、(2)家庭の負担は大きくメリットをかなり下げる、(3)国立・私立大、自宅・下宿などの違いがメリットの大小に大きく影響を与える、(4)産業間格差がかなり大きく、就職先産業が大学進学のメリットを決めてしまう、(5)教育機会の平等化とそれに伴う社会の平等化が不十分である、(6)グローバル化される国際社会において日本の高等教育市場や労働市場の競争力の低さが懸念される、などの点が指摘された。 このことから本稿は、(1)教育ローンの充実化、(2)授業料の再検討、(3)産業別賃金プロファイル格差の再検討、などを提案する。

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@osechies 高校生には、大学により平均年収に大きな差があり、受験勉強はバイトするより明らかにお得 大学生にも似たような啓発をするエピソードは幾つかあるが、現実には授業料勿体ないよねくらいしか言えないところですね https://t.co/rpk4VyYhnc

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