- 著者
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齋藤 経史
伊藤 裕子
富澤 宏之
- 巻号頁・発行日
- 2012-11-21 (Released:2012-11-21)
文部科学省 科学技術政策研究所では、科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」のデータ・情報基盤事業の一環として、博士人材データベースの構築を進めている。博士人材データベースによって博士課程修了者の状況を継続的に把握することで、人材育成に関する政策形成や政策研究への活用、博士課程進学を検討する者にとって有益な情報公開を目指している。本報告書では博士人材データベース構築の背景および国内における既存調査を概説するとともに、海外における卒業生の追跡調査の状況を表す。
米国においては、博士課程修了時点の調査であるSED (Survey of Earned Doctorates)が1957年に開始された後、博士号取得者の追跡調査SDR (Survey of Doctorate Recipients)が1973年に開始され、数十年にわたるデータおよび調査・分析技術の蓄積がある。英国においては2002年に調査体制を刷新し、卒業の約3年半後の追跡調査を見据えた高等教育機関の卒業生に対する調査DLHE (Destinations of Leavers from Higher Education)を実施している。OECDでは、2004年にUNESCOの統計研究所やEurostatと共にCDH (Careers of Doctorate Holders)を開始した。CDHでは整合性のある博士号取得者のデータを各国から収集している。
日本国内の既存調査の課題および海外における卒業後の追跡調査を踏まえた上で、日本における博士人材データベースのシステム設計を検討する。また、2012年11月時点における博士人材データベースの構築の計画を表す。