著者
齊藤 豪大 Takehiro Saito
出版者
久留米大学経済社会研究会
雑誌
経済社会研究 = The journal of the Society for Studies on Economies and Societies (ISSN:24332682)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.1-18, 2019-09-25

本稿の目的は17世紀中葉から18世紀前半にかけて展開されたスウェーデン漁業政策の一端を明らかにすることにある。とりわけ,同時期に発布された漁業法令や港湾法令の分析を通じて,水産業に対する奨励施策の問題やスウェーデン周辺海域での漁業行為をめぐる問題について上記の法令でどのように取り扱われていたのかを考察した。1658年のロスキレ条約以降に全国的な漁業法制の整備を進めていったスウェーデンは,水産業の発展を目的として漁業事業者・従事者に対して様々な優遇策を行っていった。一方,漁村における治安維持や水産加工品の品質管理に関する法規制の制度設計を行い,王国内における漁業行為の統御を本格的に進めていくこととなった。これらの施策は「スウェーデン人による漁業」の発展を目的とするものであり,18世紀中葉に発生した水産資源変動後の漁業政策にも大きな影響を与えることとなった。

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