著者
多田 和美
出版者
北海道大学大学院経済学研究科
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.79-106, 2008-09-11

本稿は,日本コカ・コーラ社の事例を通して,海外子会社の製品開発活動の進展プロセスを解明することを目的としている。具体的には,海外子会社の役割進化モデル(Birkinshaw and Hood,1998)を出発点として,海外子会社の製品開発活動が他国向け製品も開発する段階に進展するまでのプロセスの実証研究を行っている。 日本コカ・コーラ社は,コカ・コーラグループの海外子会社のなかでも世界各国で活用される製品を最も数多く自主開発している,すなわち最も製品開発活動が進展している海外子会社である。事例分析の結果,同社の製品開発活動は1)本国親会社の役割指定,2)海外子会社の選択,3)現地環境などの要因が影響していることが明らかになった。さらに,海外子会社の自律性と本国親会社と海外子会社間の関係強化という多国籍企業内部の要因も重要となることが明らかになった。 これらの発見事実は,近年活発化している海外での製品開発活動に重要な示唆を含んでいると考えられる。

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