著者
樋渡 雅人
出版者
北海道大学大学院経済学研究科
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.3-25, 2010-09-09

本稿は,日本の伝統的な村落社会を特徴付ける「自治村落」概念との比較の視座から,ウズベキスタンにおける地縁共同体「マハッラ」の特徴を考察したものる「自治村落」の場合と同様に,ウズベキスタンのマハッラ,とくに自治的機構としての「マハッラ委員会」の性格は,上部権力の統治や介入の歴史的経緯によって強く規定されてきた。一方で,現在のマハッラ委員会の「公権力」的な権限や諸機能は,法的枠組みや上部権力の権威に依拠する側面はあるものの,同時に,そこに居住する諸個人の活動によって日々再生産されているという側面がある。本稿では,こうした村落内部の組織化の過程にも着目しつつ,現在のマハッラの性格を検討する。前半において,「自治村落論」の骨子や,マハッラの歴史的,政治的背景を概観する。後半において,アンディジャン州のマハッラの具体事例を扱い,マハッラの組織的構造を検討する。とくに,住民間の共同関係(血縁,講,その他の社会的紐帯)に注目し,マハッラ委員会の存立基盤としての共同関係の役割を,主体間の重層的な関係性に基づくネットワーク・モデルの構造パラメータの推計を通して把握する。

言及状況

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編集者: Sorakara023
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