著者
池上 素子
出版者
北海道大学留学生センター = Hokkaido University International Student Center
雑誌
北海道大学留学生センター紀要
巻号頁・発行日
vol.11, pp.19-38, 2008-03

本稿では、原因・理由を表す「ため」と「によって」を比較検討し、その共通点と相違点を考察した。その結果、以下の知見が得られた。1)両者の共通点としては、「ため」と同様「によって」も「か/と」を用いて選択的あるいは複数の原因・理由を示すことができること、いくつかの助詞が後接できることが挙げられる。ただし、全く同じ助詞が後接できるわけではない。2)両者の相違点としては以下の6点が挙げられる。a)「によって」は契機的な因果関係を表すことができるが、「ため」は表しにくい。b)「によって」は前件の出来事が後件に直接働きかけるような文脈でないと使いにくいが、「ため」には特にそのような制約はない。c)「によって」は事実的か仮定的かが曖昧な表現である。これに対して、「ため」はあくまでも事実的であることを前提とする。d)「ため」はよくないことに使われる傾向があるが、「によって」には特にプラスマイナスどちらかに偏る傾向は認められない。e)「ため」と「によって」では後者の方が従属度が高い。f)過去の事態を表す場合、「ため」節では習慣的な事柄にのみル形が現れうるが、「によって」節では一回性の出来事にも習慣的な事柄にもル形が現れうる。

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「ため」と「によって」との使い分け(わたしの場合) 為(するために) :目的 依り、拠り、因り :手段・要因・根拠 A「する為」のX XはAとなることをサポートするが、XがA以外のことをもたらす作用があることを妨げない。 YによってBする Yという手段に依って課題Bを解決する。Yという根拠に拠って主張Bを提起する。 組み合わせ A(および/またはA’)するためのX(および/またはX’) Y(お ...

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