著者
大島 慶一郎
出版者
低温科学第76巻編集委員会
巻号頁・発行日
vol.76, pp.13-23, 2018-03-31

世界の海洋の深層まで及ぶ最も大きな循環は,重い水が沈み込みそれが徐々に湧き上がってくる,という密度差による循環である.沿岸ポリニヤでの大量の海氷生成が重い水のソースになっている.衛星マイクロ波放射計データ等による海氷生産量マッピングからは,南極沿岸ポリニヤでは,非常に高い海氷生産があることが示され,世界の深層に広がる南極底層水がここを起源として形成されることと整合する.南大洋ではロス棚氷ポリニヤが最大の海氷生産を持つ.第2 位の海氷生産量を持つのがケープダンレーポリニヤであることがわかり,日本の観測からここが第4(未知)の南極底層水生成域であることが発見された.第3 の南極底層水生成域であるメルツ氷河沖では,2000 年初頭の氷河崩壊後に海氷生産量が40%も減少し,その結果として,ここでの底層水生成も激減した.

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