著者
新谷 由紀子 菊本 虔
出版者
日本知的財産協会
雑誌
知財管理 (ISSN:1340847X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.11, pp.1529-1545, 2012-11

「特許権の効力は、試験又は研究のためにする特許発明の実施には,及ばない。」と規定された特許法69条1項について.「試験・研究」の範囲の明確化が求められ,経済産業省にも2004年にワーキンググルーフによる報告書が発表された。この中では.通説のとおり,大学における試験・研究の範囲も一般企業と同ーの観点から解釈された。しかし近年は国内の判例や臥米の立法例において従来と異なる考え方のものが現れてきており,本稿でも,従来の通説を改めて, 大学における試験・研究について,新たな解釈論や法整備が必要であるという主張を述べた。大学における試験・研究は,企業との共同研究や受託研究等を除いて原則として特許権の効力が及ばないとし,研究成果が市場に出て利益を得る状態になった時点でそれに関連する試験・研究について特許法の例外適用をしないとするものである。

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