著者
日名 淳裕
出版者
東京大学大学院ドイツ語ドイツ文学研究会
雑誌
詩・言語 (ISSN:09120041)
巻号頁・発行日
vol.75, pp.87-109, 2011-11

本稿は東京大学ドイツ文学研究室で2010年11月25日に行われたドクター・コロキウムの発表原稿に加筆したものである。今回はハイデガーが第二次大戦後1950年代に発表したトラークル論をあつかった。はじめに、実際にハイデガーとも関係のあった二人の詩人アイヒとベンの作品分析をとおしてこの時期の抒情詩の傾向を概観し、それが当時の歴史的文脈と不可分であることを確認した。それからハイデガーの論文もまたこのような歴史的文脈の中においてこそ読まれるべきであるという主張を出発点として、戦後におけるハイデガーとブレンナー・クライスのかくれた結びつきを論文成立の最大の契機として指摘した。この論文が高度に政治的な意図を背景にもつものであり、そこで論じられたトラークルはまさにハイデガーによって<読み替えられた>といっても過言ではない。そしてこの論文を含むハイデガーの詩論集『言葉への途上』が後の抒情詩の自己規定に大きな影響を与えたことを顧みつつ、トラークルのテクストに対するハイデガーの具体的な作業をかれの<歴史性>理解への批判を中心に分析した。

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