著者
塚本 泰造
出版者
熊本大学
雑誌
国語国文学研究 (ISSN:03898601)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.1-49, 1988-09-10

いわゆる「陳述論争」の帰結の一つは、文法用語としての「陳述」の定着である。現在の構文論において、「陳述」を項目として論ずべき部分は多いであろう。ところで、この論争の過程で、論者が必ずなさねばならない作業があった。それは、山田文法の「陳述」「統覚作用」これら二つの文法用語の関係を見極める事であった。文法用語としての「陳述」が山田博士によって初めて取り入れられたとされる以上、論者自身の「陳述」(あるいはそれ相当の何か別の言葉)のオリジナリティを明確にし、山田文法の批判克服に向かうためにも、右の語義の検討は重要なことであった。そして、論者の「陳述」「統覚作用」の関係の理解は、統一されているとは言えないのである。

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