著者
小谷 仁務 横松 宗太
巻号頁・発行日
pp.1-23, 2017-01-09

本報告書では、京都大学防災研究所・災害リスクマネジメント研究室の小谷と横松を中心としたグループが2012 年より神戸市長田区JR 新長田駅南部の商店街周辺を対象として行ってきた一連の研究活動の差し当たっての総括を行います。一連の活動では、地域の商店街アーケードや街並みなどの地域のインフラストラクチャーの視点から、地域コミュニティの交流の問題を研究してきました。具体的には、(1)震災後の物理的環境である商店街アーケードの変貌によって、買い物時の行動規範が「おしゃべりをしながら買い物する」ことから「商品のみを見て無言で買い物をする」ことへと変わったのかを検証しました。次いで (2)新しい商店街アーケードで行われるようになった地域の共同行事が日常生活の交流の拡大に果たす役割を分析し、それを通じ、新しい商店街アーケードの機能を明らかにすることを目指しました。本報告書では、まず、ここまでの私たちの研究活動を振り返り、震災後の地域のインフラの変貌によって買い物時に交わすおしゃべりという行動が変容した可能性を明らかにしたことを述べます。次いで、新たな大正筋商店街アーケードで開かれる縁日を対象とし、私たちが開発した社会ネットワークに関するシミュレーションモデルを用い、縁日が日常生活の交流を拡大してきた効果を定量的に評価します。また、その効果に寄与する商店街アーケードの空間的特性を示します。これらを通じて、地域コミュニティの日常生活の交流の拡大の視点から、これまで看過されてきた新しい大正筋商店街のアーケードの機能を明らかにします。

言及状況

はてなブックマーク (1 users, 1 posts)

Twitter (2 users, 3 posts, 0 favorites)

2 2 https://t.co/MAogZ0cxmR
1 1 https://t.co/cfFN1ULO4t

収集済み URL リスト