著者
小嶋 大造
出版者
Institute of Economic Research, Kyoto University
雑誌
KIER Discussion Paper
巻号頁・発行日
vol.1606, 2017-02

本稿では, 法律と裁量を分析視座に, 農業政策に不安定性をもたらす仕組みや, それが政策形成に与える影響について, 財政学的な観点を中心に検討する. 農業政策では, 1970年代前後の米生産調整を中心に, 根拠法をもたない予算措置と, 法的作用をもつ通達とが組み合わされる形で, 基本法の枠組を逸脱した行政裁量を可能とする仕組みが形成されてきた. これが, 今日まで, 所得対策を中心に農業政策の基本形として続いてきた (例えば, 基本法の枠組から逸脱し, 本来の目的と異なる目的が紛れ込んだ予算措置など). 今後, 行政裁量に対する統制のあり方が問われて然るべきである.

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