著者
鍛冶 美幸
出版者
京都大学大学院教育学研究科
雑誌
京都大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13452142)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.291-302, 2018-03-30

従来の認知行動療法では、身体症状や問題行動を言語化して説明することを通して、身体は客体化されてきた。また生理的なアプローチや行動の修正に取り組む身体は、問題を解決するための道具として対象化されてきた。しかし第三世代の認知行動療法では、マインドフルネスという仏教思想にもとづく心身観を取り入れ、ありのままの身体を客観的に観察し言語化して認識する方法が用いられた。そこには身体の客体化や対象化から離れた、身心一如にもとづく日本古来の心身観や身体鍛錬との関連が認められる。症状や問題行動の苦悩も含め、環境や自分自身のすべてをつながりのなかに在るものとして受け入れるという仏教思想の「縁起」は、この概念を理解するために意味を持つ。こうした視座に立ち、心と不可分の、自らの生の根源としての身体と向き合い身体技法に取り組むことは、認知行動療法の身体性をめぐる重要なパラダイムといえるのではないだろうか。

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