著者
大西 広 山下 裕歩
出版者
京都大学経済学研究科
雑誌
京都大学大学院経済学研究科Working Paper
巻号頁・発行日
no.J-20, 2002-01

本稿は近代経済学とマルクス経済学が相互に意志不通である状況を解消し、マルクス経済学を近代経済学に理解可能な形で再構成することを目的としている。この分野では置塩(1957)による「マルクス=置塩の定理」が国際的にも高い評価を得ているが、それでもそれ自身の理論継承者である分析的マルクス主義からも現在は批判を受けるに至っている。また、置塩(1967)は、ケインズ経済学寄りのマルクス解釈でマルクス経済学と近代経済学と の橋渡しを行ない,その後三土(1984)は逆に新古典派的な限界生産力理論を基礎にマルクス搾取理論を再解釈した。これらに対し,本稿では新古典派成長理論を基礎としたマルクス理論の再構成を試みる。 本稿におけるマルクス理論の再構成のもうひとつの特徴は,史的唯物論に明確に基礎を置いた労働価値説と剰余価値説を定式化することである。

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