著者
田中 周平 高見 航 田淵 智弥 大西 広華 辻 直亨 松岡 知宏 西川 博章 藤井 滋穂
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.9-15, 2020 (Released:2020-01-10)
参考文献数
8
被引用文献数
1

2015年に琵琶湖岸の132の抽水植物群落を対象に, 単独測位携帯型GPSを用いたオオバナミズキンバイの植生分布調査を実施した。琵琶湖岸12か所の観測所における風速, 風向および有効吹送距離を元に群落ごとの有義波高を算出し, オオバナミズキンバイの生育地盤高との関係を検討した。その結果, 1) 有義波高18 cm以上の群落ではオオバナミズキンバイは確認されなかった。2) オオバナミズキンバイは55群落で確認され, 地盤高別の生育分布を整理すると, 琵琶湖標準水位B.S.L. -150 cm~-50 cmに分布する群落 (沖型) , B.S.L. -90 cm~-30 cmに概ね均等に生育する群落 (準沖型) , B.S.L. -50 cm~-30 cmに集中して生育する群落 (準陸型) , B.S.L. -30 cm~-10 cmに集中して生育する群落 (陸型) の4タイプに分類することができた。3) 平均有義波高は沖型, 準沖型, 準陸型の順に5.5 cm, 9.4 cm, 13.2 cmであり, 有義波高によりオオバナミズキンバイの生育地盤高をある程度説明することができた。
著者
大西 広
出版者
慶應義塾経済学会
雑誌
三田学会雑誌 (ISSN:00266760)
巻号頁・発行日
vol.106, no.4, pp.439-452, 2014-01

経済学会シンポジウム : 経済学のフロンティア近代経済学には「希少資源の最適配分の理論」という定義がある一方で, 「マルクス経済学(科学的社会主義)」にはエンゲルスが『空想から科学へ』で示した「社会主義は史的唯物論と剰余価値学説の発見によって科学となった」との「定義」がある。この両定義は互いに矛盾するものでないから, その重複領域は成立しうる。「近代経済学でもマルクス経済学でもある領域」となる。ここではその試みとして筆者を中心とする研究グループが開拓した「マルクス派最適成長論」を紹介する。Although modern economics holds definitions such as a "theory of optimal allocation of scarce resources," Marxian economics (scientific socialism) holds a definition described as "socialism has become a science through the discovery of historical materialism and the theory of surplus value," highlighted by Engels in his book "The Development of Socialism from Utopia to Science." Since both definitions do not contradict each other, there should be an overlapping area. This area is both modern economics and Marxian economics. This study introduces, as an attempt to define the mentioned area, the "Marxian Optimal Growth Model," developed by a research group led by the author of this study.
著者
大西広著
出版者
慶應義塾大学出版会
巻号頁・発行日
2012
著者
大西 広倫 美崎 定也 川崎 卓也 末永 達也 山本 尚史 木原 由希恵
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A1552, 2008 (Released:2008-05-13)

【目的】 人は加齢により著しく平衡機能の低下が見られる。また,外乱刺激に対する反応の低下により高齢者は転倒しやすい傾向にある。臨床で腹腔内圧(腹圧)を高める事で,しばしばバランスの向上が見られる事がある。腹圧の維持・向上は体幹・腰部の安定性のみならず,四肢の運動機能に重要である。今回,高齢者を対象に簡便な方法として,腹圧へのアプローチが身体制御,平衡機能においてどのように影響を及ぼすのか,検討する事を目的とした。【方法】 対象は本研究に同意した当院関連施設デイサービスを利用している高齢者26名(年齢69.7±6.8歳)とした。今回,介護度としては要支援1から要介護2の方々を対象に男性19名,女性7名で脳血管障害20名,下肢整形外科疾患2名,その他4名であった。除外基準としては立位が著しく不安定、また10m以上の歩行が困難な者とした。検討項目としてはFunctional reach test(FRT),Timed up and go test(TUG)を用い,同一対象者で腹部ベルト装着あり・なしの条件下で測定しその差を検討した。腹部ベルト装着あり・なしの条件下で,Functional reach test(FRT),Timed up and go test(TUG)を測定しその差を検討した。FRTは,Duncanらの方法をもとに施行した。またTUGは,Podsiadloらの方法をもとに施行した。ベルトの装着位置においては,関らの方法を一部改定し,Jacob線直上の水平面上で,立位にて測定し,腹囲より5cm短い長さでベルトを装着した。ベルトは市販の4cm幅の物で,1cm間隔で目盛りを付けた。なお,測定はそれぞれ一回づつ,ランダムにて行った。統計解析はWilcoxonの符号付き順位検定を用い,有意水準5%とした。【結果】 両検査の測定値をベルト装着あり・なしの二条件間で比較した結果,FRTにおいては,ベルト装着ありで中央値(四分位範囲)22.1(17.3~30),装着なしで21.5(14~24.8)でありベルト装着の方が有意に大きかった(P<0.05)。TUGにおいては,ベルト装着ありで14.6(12.2~21.4),装着なしで16.3(12.1~25.7)であり,ベルト装着ありの方が,装着なしに比べ,有意に短かった(P<0.05)。【考察とまとめ】 今回,高齢者の腹部にベルトを装着する事で静的・動的バランス機能の向上が認められた。ベルトを使用する事で腹圧を高める,腹圧の上昇が腰椎を安定化させる事,また下部体幹の固定性が増す事が言われている。今回,静的・動的バランス機能の向上においては,腹腔内圧の上昇により,四肢の運動機能が高まった事が考えられる。腹圧を高め,バランス機能の向上を図る事は,ベルトを使う事で簡便にできる有用な手段の一つである。
著者
大西 広
出版者
慶應義塾経済学会
雑誌
三田学会雑誌 (ISSN:00266760)
巻号頁・発行日
vol.110, no.2, pp.99(3)-111(15), 2017-07

「マルクス派最適成長論」は, 労働価値説を基礎にマルクス史的唯物論の基本命題を導くために開発されたものであるが, 個別経済主体の最適化行動を基礎としたモデルを基本としているために近代経済学上の諸概念とも接続可能な論理構成を持っている。また, ここでは価値と価格の関係も明示されているので, 『資本論』の最も原理的な問題領域を論じる特集の基調論文として「マルクス派最適成長論」とその周辺の諸問題をまとめた。具体的には, 限界原理と労働価値説との関係, 「地代」を論じる次元の特定化, 新解釈学派と単一体系学派の問題, 「価格」レベルにおける利子取得を価値レベルでどう捉えるかといった問題である。Marxian optimal growth theory was developed to provide direction to the basic proposition of Marxian historical materialism on the basis of the labor theory of value and is also based on the optimization theory of individual agents so as to connect to modern economic theory. The relationship between value and price is also specified in Marxian optimal growth theory. Thus, I introduce this model in this paper as a keynote article discussing the most fundamental issues of Marx's Capital. In particular, the relationship between the marginal principle and the labor theory of value, special theoretical dimension of "rent," problems of the newinterpretation and single-system schools, and two dimensions of the category of "interest" are discussed in this paper.特集 : 『資本論』数理化研究の最先端
著者
大西 広 田上 孝一 瀬戸 宏 松井 暁
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究の多くの部分は研究代表者・分担者が所属する社会主義理論学会の協力を得た。特に中国の研究者との交流を重視し、2013年12月に12名の中国人研究者を招き、「中国特色社会主義の行方と理論問題」の主題で第四回日中社会主義フォーラムを開催した。2015年4月には中国人研究者1名を招き講演会「『さあ「資本論」を読んでみよう』について」を開催した。2016年3月には四名の中国人研究者を招き、「中国社会主義の多様性」を主題に第五回日中社会主義フォーラムを開催した。いずれも社会主義理論学会と当科研費プロジェクトの共催である。参加者・集会報告などはいずれも社会主義理論学会HPに掲載されている。
著者
大西 広二
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, 2002-03-05

北太平洋中央部の亜寒帯海域において,北海道大学のおしょろ丸によるCTD観測が毎年6月の下旬に行われている。1990〜1998年の9年間,180°の経度線に沿って,48°N〜51.2°Nの間に9観測点が設けられた。このデータセットを用いて,水温,塩分,密度,地衡流速(3,000m基準)についての平均断面図や標準偏差断面図などを作成した。さらにEOF解析を用いて断面構造における空間分布と時間変動の解析を行った。流速断面のEOF第1モード(寄与率37.6%)は,西向きのアラスカンストリームと東向きの亜寒帯海流の強弱を表わす空間分布を示した。このモードの振幅関数では,1991年と1997年に正の極大値を持ち,亜寒帯海流の東向き輸送量の変動とよい一致を示した。また,この変動は,Ridge Domainにおける深層水の湧昇の度合いが強く関与していることが示された。
著者
大西 広 山下 裕歩
出版者
京都大学経済学研究科
雑誌
京都大学大学院経済学研究科Working Paper
巻号頁・発行日
no.J-20, 2002-01

本稿は近代経済学とマルクス経済学が相互に意志不通である状況を解消し、マルクス経済学を近代経済学に理解可能な形で再構成することを目的としている。この分野では置塩(1957)による「マルクス=置塩の定理」が国際的にも高い評価を得ているが、それでもそれ自身の理論継承者である分析的マルクス主義からも現在は批判を受けるに至っている。また、置塩(1967)は、ケインズ経済学寄りのマルクス解釈でマルクス経済学と近代経済学と の橋渡しを行ない,その後三土(1984)は逆に新古典派的な限界生産力理論を基礎にマルクス搾取理論を再解釈した。これらに対し,本稿では新古典派成長理論を基礎としたマルクス理論の再構成を試みる。 本稿におけるマルクス理論の再構成のもうひとつの特徴は,史的唯物論に明確に基礎を置いた労働価値説と剰余価値説を定式化することである。