著者
古山 恒夫 菊地 奈穂美 安田 守 鶴保征城
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.8, pp.2608-2619, 2007-08-15

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)ソフトウェア・エンジニアリング・センター(SEC)では,国内のソフトウェアベンダのエンタプライズ系ソフトウェア開発に関するプロジェクトデータを収集している.このデータに含まれる,コスト・納期・品質それぞれに関するプロジェクト遂行の成否を示すデータに着目し,それらと規模や工数などの量的データやさまざまなプロジェクト特性を示す質的データとの関係を分析することにより,次のようなプロジェクトを計画どおりに遂行できなかった要因,すなわちコスト超過・納期遅延・品質低下を起こす要因を明らかにした.(1) プロジェクト規模そのものが大きく,特に工期あたりの規模が大きいプロジェクトはコスト超過を起こす割合が高く,(2) 要求仕様があいまいなプロジェクトは納期遅延や品質低下を起こす割合が高い.一方,(3) 事前に工期の妥当性を評価したプロジェクトでは納期遅延を起こす割合が低く,(4) 業務分野の経験者を揃えたプロジェクトでは納期遅延や品質低下を起こす割合が低く,(5) テスト体制を整備したプロジェクトでは,コスト超過・納期遅延・品質低下を起こす割合が低い.

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