著者
中川 郁夫 米田 政明 安宅 彰隆
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.12, pp.2887-2896, 2001-12-15

近年,国内の各地において,地域内の通信を効率的に実現することを目的として地域IXを構築するケースが増えている.地域IXは通信の効率化をはかるだけではなく,地域内通信の安定性の向上や耐障害性の向上などにも効果が期待されている.富山地域においても1998年に地域内にIXを実験的に構築し,地域内のプロバイダや大学,研究機関など計10以上の組織間で相互接続を行ってきた.著者らは富山地域IXを中心として経路情報や通信状態などの観測を行い,地域ユーザ間の通信経路の安定性に関する研究を行った.本論文では通信経路の安定性に関する評価関数を定義し,富山地域IXで得られた観測結果をもとに,地域IXを介さずに行う通信に比較して地域IX経由の通信経路が非常に安定していることを示す.また,不安定な経路では経路の変化にともなって深刻な問題が発生することがある.本論文では地域ユーザ間の通信が地域外を経由する場合に経路の変化にともなう通信障害や通信品質の変化が発生しうることを実例を用いて述べ,地域IXの実現によりこれらの問題を回避できたことを示す.

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