著者
畠山 正行 金子 勇
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.2060-2073, 1998-07-15

オブジェクトに基づくシミュレーションシステムは,大きな特長を持ちにもかかわらず,従来のモデリング方法との差異による違和感やプログラミング(実装)の難しさ等の実用技術上の難点のゆえにその普及ははかばかしくない.そこで本研究では,これらを克服すべくUNIXシステム上にオブジェクトシミュレーションシステムを構築する新規な方法論を提唱し,従来のシミュレーションシステムやUNIX環境との整合性が良くプログラム言語に依存しない,実用性の高いシステム構築方法の確立を目指す.そのために,UNIXファイルシステムのディレクトリをオブジェクト単位ととらえ,その構成要素であるファイルへのアクセスを同一ディレクトリ内からのプロセスに制限する.その目的実現のため,我々はオブジェクトの構成とUNIXシステムとの対応関係を見直してわずかなシステムを加えた.それを用いることでカプセル化および情報隠蔽化されたプロトタイプベース・オブジェクトの構成要件を満たし,オブジェクトとしての振舞いや相互作用条件も満たした汎用的なオブジェクトシステムとして再構成した.これに基づいてオブジェクトシミュレーションの実際例を構築・駆動させ,当初の目標をほぼ達成した.著者たち自身の使用経験によれば,従来のシステムと比較しても実装の簡潔性,分かりやすさ,使いやすさ,表現能力は良好である.結論として,すぐにでも実装・実行可能なほどに実用性の優れたオブジェクトシミュレーションシステムがUNIXシステムを再構成することで,実際に構築され,高い有効性や有用性が検証された.

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編集者: こんこんちき
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