- 著者
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高木 智彦
古川 善吾
- 雑誌
- 情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
- 巻号頁・発行日
- vol.51, no.9, pp.1794-1804, 2010-09-15
統計的テスト法においてテストケースを生成するために用いる利用モデルを,多重マルコフ連鎖に基づき,現実のユーザの振舞いをより反映するように構築する手法を提案する.統計的テスト法は欠陥を網羅的に検出することよりもソフトウェア信頼性を評価することに主眼を置いたソフトウェアテスト技法であり,その評価の正確さはユーザの振舞いのモデルである利用モデルに依存している.従来手法では単純マルコフ連鎖や斉時マルコフ連鎖などが利用モデルとして用いられる.その場合,ユーザの次の振舞いがそれまでの振舞いの内容に影響されるような状況を表現することができず,利用モデルの正確さを損なう場合があった.そこで本稿では,多重マルコフ連鎖に基づく精密化利用モデルの構築手法を提案する.本手法の手順やアルゴリズム,適用例などについて述べる.精密化利用モデルが従来のものよりも正確であり,ソフトウェア信頼性を正確に評価するうえで役立つこと,そして実際のソフトウェア開発に適用可能であることが分かった.また,本手法をより有効化するための課題について明らかにすることができた.