著者
古川 善吾 野木 兼六 徳永 健司
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.736-744, 1984-09-15

ソフトウェアの機能テストのためのテスト項目を系統的に作成するAGENT技法を提案した.AGENT技法は 機能図式(Function Diagram)という形式的な記法によってソフトウェアの機能仕様を表現した後 機械的にテスト項目を作成する技法である.機能図式は 入力や出力の順序に依存した対応関係を表す状態遷移(状態遷移図で記述する)と 状態遷移の各状態での入力データと出力データや遷移先状態との対応関係を表す論理関係(原因結果グラフあるいは決定表で記述する)とから成っている.AGENT技法では この機能図式から 通過すべき状態の列と各状態での入出力データの条件の組合せとして 以下の条件を満たすテスト項目を機械的に作成する.?各状態での入出力データの条件を確認するのに十分である.?状態遷移を構造化した構造化状態遷移の各遷移を少なくとも1回は辿る.?構造化状態遷移の繰返しは0回と1回の2通りを実現する.このテスト項目作成を自動的に行うためにAGENTプログラムを開発した.本論文では テスト項目作成の考え方 AGENTプログラムの概要について述べた.
著者
片山 徹郎 菰田 敏行 古川 善吾 牛島 和夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.34, no.11, pp.2223-2232, 1993-11-15
被引用文献数
3

ソフトウェアのテストを行う際、テストデータについての条件を記述したテストケースは、ソフトウェアの信頼性向上に重要な役割を果たす。逐次処理プログラムのテストケース作成技法については、さまざまな方法が実用化されている。しかしながら、並行処理プログラムの場合、テストケースの考え方すらほとんど研究されていない。並行処理プログラムが実用化されるようになり、並行処理プログラムのテストの質を向上させることが重要になっている。本稿では、並行処理プログラムのテストケースの定義、およびその生成ツール(TCgen)の試作と利用経験について述べる。プログラム単位ごとに事象グラフを作り、事象グラフ間で同期する節点を同期関係で結んだ事象同期グラフ(ESG)によって、並行処理プログラムをモデル化する。事象同期グラフ上の協調路(Copath)を、並行処理プログラムのテストケースと定義する。テストケース生成ツールTCgenは、プログラミング言語Adaで書かれた並行処理プログラムを入力とし、協調路を出力とするツールである。ツールTCgenによって作成された協調路は、テストケースの漏れや重複を少なくすると期待される。しかしながら、実際のテストデータを作成する段階で、実行可能性についての間題が残る。
著者
秋山 浩一 高木 智彦 古川 善吾
出版者
一般社団法人 日本品質管理学会
雑誌
品質 (ISSN:03868230)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.567-576, 2012
参考文献数
16

直交表を用いたHAYST法という組合せテスト技法は,組込み系ソフトウェアに対する品質向上とテストの効率化を目的として開発された.一方で,受注ソフトウェアの開発において,納品後の不具合に対して,対症療法的な対応がされているケースがあり,HAYST法を適用すべきであると考えた.しかし,HAYST法は,因子数に対してテストケース数が一次関数的に増加する傾向にあり,そのまま適用することはできなかった.そこで,HAYST法に拡張を行い,受注ソフトウェアに対してもHAYST法を適用することができることを確認した.受注ソフトウェアにおいては,顧客データのエラーの組合せパターンが多く,その作成が鍵であった.また,状態遷移図からテスト設計するのではなく状態変数の組合せを状態としてテストしたことで欠陥が検出できた.そして,グループ別に小さな直交表に割り付けて,それらを組み合わせることでテストケース数を削減した.納品後1年間,欠陥が検出されなかったことから,HAYST法が受注ソフトウェアのテストにおいても有効であることが確認できた.
著者
秋山 浩一 高木 智彦 古川 善吾
出版者
一般社団法人 日本品質管理学会
雑誌
品質 (ISSN:03868230)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.567-576, 2012
参考文献数
16

直交表を用いたHAYST法という組合せテスト技法は,組込み系ソフトウェアに対する品質向上とテストの効率化を目的として開発された.一方で,受注ソフトウェアの開発において,納品後の不具合に対して,対症療法的な対応がされているケースがあり,HAYST法を適用すべきであると考えた.しかし,HAYST法は,因子数に対してテストケース数が一次関数的に増加する傾向にあり,そのまま適用することはできなかった.そこで,HAYST法に拡張を行い,受注ソフトウェアに対してもHAYST法を適用することができることを確認した.受注ソフトウェアにおいては,顧客データのエラーの組合せパターンが多く,その作成が鍵であった.また,状態遷移図からテスト設計するのではなく状態変数の組合せを状態としてテストしたことで欠陥が検出できた.そして,グループ別に小さな直交表に割り付けて,それらを組み合わせることでテストケース数を削減した.納品後1年間,欠陥が検出されなかったことから,HAYST法が受注ソフトウェアのテストにおいても有効であることが確認できた.
著者
古川 善吾 野木 兼六 徳永 健司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.736-744, 1984-09-15
被引用文献数
4

ソフトウェアの機能テストのためのテスト項目を系統的に作成するAGENT技法を提案した.AGENT技法は 機能図式(Function Diagram)という形式的な記法によってソフトウェアの機能仕様を表現した後 機械的にテスト項目を作成する技法である.機能図式は 入力や出力の順序に依存した対応関係を表す状態遷移(状態遷移図で記述する)と 状態遷移の各状態での入力データと出力データや遷移先状態との対応関係を表す論理関係(原因結果グラフあるいは決定表で記述する)とから成っている.AGENT技法では この機能図式から 通過すべき状態の列と各状態での入出力データの条件の組合せとして 以下の条件を満たすテスト項目を機械的に作成する.?各状態での入出力データの条件を確認するのに十分である.?状態遷移を構造化した構造化状態遷移の各遷移を少なくとも1回は辿る.?構造化状態遷移の繰返しは0回と1回の2通りを実現する.このテスト項目作成を自動的に行うためにAGENTプログラムを開発した.本論文では テスト項目作成の考え方 AGENTプログラムの概要について述べた.
著者
高木 智彦 古川 善吾
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.1794-1804, 2010-09-15

統計的テスト法においてテストケースを生成するために用いる利用モデルを,多重マルコフ連鎖に基づき,現実のユーザの振舞いをより反映するように構築する手法を提案する.統計的テスト法は欠陥を網羅的に検出することよりもソフトウェア信頼性を評価することに主眼を置いたソフトウェアテスト技法であり,その評価の正確さはユーザの振舞いのモデルである利用モデルに依存している.従来手法では単純マルコフ連鎖や斉時マルコフ連鎖などが利用モデルとして用いられる.その場合,ユーザの次の振舞いがそれまでの振舞いの内容に影響されるような状況を表現することができず,利用モデルの正確さを損なう場合があった.そこで本稿では,多重マルコフ連鎖に基づく精密化利用モデルの構築手法を提案する.本手法の手順やアルゴリズム,適用例などについて述べる.精密化利用モデルが従来のものよりも正確であり,ソフトウェア信頼性を正確に評価するうえで役立つこと,そして実際のソフトウェア開発に適用可能であることが分かった.また,本手法をより有効化するための課題について明らかにすることができた.
著者
高木 智彦 八重樫 理人 古川 善吾
雑誌
ソフトウェアエンジニアリングシンポジウム2012論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.1-6, 2012-08-21

拡張有限状態機械に基づく運用プロファイルから,usage distribution coverage と N スイッチ網羅率ができるだけ大きいテストケースを生成するためのソフトウェアテストのフレームワークを提案する.
著者
高木 智彦 古川 善吾
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ソフトウェア工学(SE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.23, pp.79-86, 2002-03-07
被引用文献数
1

ソフトウェアの信頼性や開発時の生産性が低下する原因として,テスト工程と仕様化工程が十分に連携していないことが挙げられる.そこで本報告では,仕様化工程で作成されるUML状態図上のパス(初期状態から終了状態に至る状態の列)を用いて統計的テストのためのテストケースを作成する方法を確立する.すなわち,ユーザの使用状況を遷移確率付き状態図(利用モデル)として記述する.そして利用モデル上の遷移確率を満たすパスをテストケースとして作成する.また,本手法に基づいてテストケースを作成するシステムを試作した.利用モデルの作成は,統計的テストのためのテストケース作成だけでなく,開発計画の判断材料としての可能性がある.Weak relationships between specifications and testing causes lower reliability of software and lower productivity in software development. This paper proposes a testcase generation method for statistical testing using a UML state diagram, which specifies usage of software and is added probability of transition by the users as usage for it. The testcases are sequences of states in the diagram from a beginning one to an end one according to probability of transition from a state. The prototype system of testcases generation is constructed.