- 著者
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吉川 茂
- 雑誌
- 研究報告 音楽情報科学(MUS)
- 巻号頁・発行日
- vol.2011-MUS-89, no.1, pp.1-5, 2011-02-04
東大寺の正倉院に保存されている唐より伝来した尺八 (正倉院尺八) の音響的特性を歌口端および指孔開孔端での補正長さに着目して検討した。ベースとした定量的データは昭和期の調査における各運指における発音周波数の測定記録である。正倉院北倉の竹製尺八の寸法図面を基に、数値計算用モデルを設定し、歌口における入力アドミッタンスのピーク値より発音周波数を計算できるようにした。この計算周波数と吹鳴調査における発音周波数が一致するとして歌口端補正長さを推定した。また、この発音周波数が与える波長から、指孔開孔列がもたらす補正長さも求めた。これらの結果より、2 つの補正長さの周波数 (運指) 依存性、オクターブ・バランス、クロス・フィンガリングと音律異常、尺八とベーム・フルートなどについて考察した。