著者
唐澤 太輔
出版者
東洋大学国際哲学研究センター(「エコ・フィロソフィ」学際研究イニシアティブ)事務局
雑誌
「エコ・フィロソフィ」研究 = Eco-Philosophy (ISSN:18846904)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.93-105, 2020-03

華厳僧・明恵坊高弁(1173〜1232 年)は、19 歳の青年期から晩年の 58 歳まで、断続的に自身が見た夢を記録し続けた。彼は、実に様々な夢を記録しているが、本稿で焦点を当てるのは、動物に関する夢である。明恵の夢には、非常に多彩な動物が登場する。しかし、それらを網羅的に捉え言及した研究はこれまでなかった。明恵の動物観あるいは非—人間への眼差しを知る上で、彼が見た動物の夢は大きなヒントを与えてくれる。同時に我々は、その眼差しが華厳思想(事事無礙法界:事物と事物が豊かにつながり合う様態を重視する思想)と深くリンクすることを知ることができるはずである。本稿では、まず、現在までに活字化され刊行されている明恵による夢の記録を概観し、そこから動物に関する夢を抽出しリスト化する。その上で、彼の夢に登場する動物の傾向を考察する。さらに、それらの動物が、明恵にとってどのような「意味」を持つものだったのかを論述する。最後に、明恵が経験した動物をめぐる共時的現象と華厳思想とのつながりについて述べる。

言及状況

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拙稿「明恵の夢における動物の意味」が、『「エコ・フィロソフィ」研究 』14号に掲載されました。 以下の東洋大学学術情報リポジトリから読むことができます。 https://t.co/KYdTpsjSpa

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