- 著者
-
加藤 喜之
- 出版者
- 東京基督教大学
- 雑誌
- キリストと世界 : 東京基督教大学紀要 = Christ and the World (ISSN:09169881)
- 巻号頁・発行日
- vol.25, pp.28-63, 2015-03
本稿は、十七世紀後半のネーデルラント連邦共和国において最も重要な神学者のひとりであったクリストフ・ウィティキウス(Christoph Wittichius、1625–87)の神学・哲学思想を、当時の文脈のなか、とくにスピノザ哲学との関係のなかで読み問いていくものである。具体的には、スピノザの『エティカ』(1677 年)の詳細な論駁がなされるウィティキウスの『スピノザ反駁』(1690 年)に注目することによって、当時のデカルト哲学の多様性、神学と哲学の関係、そしてスピノザの哲学がどのように彼の批判者によって読まれていたかを明らかにしていく。さらに、ウィティキウスの試みが、スピノザのラディカルな思想、特にその神の概念に応答する神学的に重要なレスポンスのひとつであることを示していく。まず第1 節では、ウィティキウスに関する研究動向を紹介していき、第2 節では、現代においては忘れられてしまったこの哲学・神学者の生涯と思想に光をあてていく。さらに第3 節では、『スピノザ反駁』の背景を明らかにし、第4 節では、ウィティキウスの『スピノザ反駁』のなかに現れる二つの論点を分析していく。