- 著者
-
大野 順子
- 雑誌
- 摂南大学教育学研究 = Bulletin of Educational Research of Setsunan University (ISSN:13498118)
- 巻号頁・発行日
- no.18, pp.11-24, 2022-03
本稿は、第二次世界大戦後、軍国主義から民主主義へ社会状況が変化する中で、アメリカより「経験主義」が教育課程に導入された状況を概観し、さらに、それが1958年の教育課程改訂において排除された教育課程改訂のプロセスについて、改めて整理しなおし、検討したものである。特に、「経験主義」が当時の教育課程から排除された理由には、その無計画性や系統的でないこと。内容が個人的であり、人間性重視で普遍的知識の学習を軽視していることなどが指摘され、「はいまわる経験主義」として批判された。しかしながら、実は、経験主義的な学びは知識軽視の学びではなく、むしろ知識を経験学習に加えていくことでより子どもたちの学びが深まること。そして、個人的な学びと言われがちではあるが、個人の経験を通して導き出される普遍的知識が存在すること。さらには、そもそも「経験」をともなわない学びは真の学びとならないという指摘があることから、「経験と知識をつないだ学び」が本来教育課程には重要であり、「経験主義」こそ学力と人間性の両者をつなぐものとなることを指摘した。また、こうした学習理論は、近年の教育課程改訂においても「アクティブラーニング」の導入や「社会に開かれた教育課程」などのように注目されている点についても述べた。