- 著者
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望月 由美子
- 出版者
- 札幌市立大学
- 雑誌
- 札幌市立大学研究論文集 = SCU journal of Design & Nursing (ISSN:18819427)
- 巻号頁・発行日
- vol.11, no.1, pp.13-28, 2017-07-18
本稿は,初代サッビオネータ公爵ヴェスパシアーノ・ゴンザーガ・コロンナ(1531-91)が居城であるパラッツォ・ドゥカーレ(公爵の宮殿) に造営した肖像ギャラリーについて検証するものである.ヴェスパシアーノは北イタリアのロンバルディア州で勢力を誇ったゴンザーガ家の傍系貴族で, 星形の要塞都市サッビオネータを造営した人物として知られる.また,学術文芸の庇護者,スペイン王フェリペ二世の傭兵隊長としても名声を馳せ,歴代神聖ローマ皇帝の愛顧を受けて地方領主の身分から公爵まで登りつめた人物でもある.本論は,サッビオネータのパラッツォ・ドゥカーレにヴェスパシアーノが設けた「祖先のガッレリーア」(ガッレリーアは「美術品展示室」「ギャラリー」の意)と呼ばれるゴンザーガ家祖先の肖像を飾った部屋の室内装飾プログラムを分析するものである.その際,16 世紀から18 世紀の宮廷文化で重要な側面を担った肖像ギャラリーの機能に配慮しつつ,壁面の祖先たちの肖像群と天井フレスコ画のオリンポスの神々,古代ローマ帝国主題を図像学・考古天文学的視座から検討し,最終的にここがヴェスパシアーノの政治支配の正当性と,サッビオネータのゴンザーガ家による支配の永遠性を祈念する意図から構想された一室であったことを明らかにするものである.