- 著者
-
遠藤 孝
- 出版者
- 湘南工科大学
- 雑誌
- 湘南工科大学紀要 = Memoirs of Shonan Institute of Technology (ISSN:09192549)
- 巻号頁・発行日
- vol.52, no.1, pp.175-185, 2018-02-01
本稿ではアガンベンの権力論を考察した。2014年における彼の《ホモ・サケル》プロジェクトの終了に伴い、そこでの権力論を再構成するためである。彼は、主権権力、例外状態、閾、排除‐包含、剝き出しの生といった概念を用いて、権力を論じている。これらの概念は、古典古代と現代をつなぐという彼独自の観点のなかで論じられている。こうした彼の議論を振り返るなかで、彼に対する批判とその有効性を検討した。さらにアガンベンが提起する新しい政治の可能性については、脱構成的権力という概念から考察を加えた。