著者
西村 明
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.147, pp.77-91, 2008-12-25

ガダルカナル島の攻防戦を転機として、戦死者の遺骨の送還のあり方が徹底的に変質し、多くの遺骨が戦地に残されたままとなって、遺族の元に戻らなかった。それを踏まえて、戦後に遺骨収集や戦地訪問の動きが起ってくるが、戦友を亡くした元兵士や戦死者の妻にとって、それらはどのような意味を持つのか?本稿では、政府の遺骨収集事業について概観した上で、『国立歴史民俗博物館資料調査報告十四 戦争体験の記録と語りに関する資料調査一〜四』(二〇〇四年・二〇〇五年)にもとづいて、戦死者の遺族と戦友たちの遺骨収集と戦地訪問への関わりの具体例を取り上げながら、元兵士や遺族が遺骨収集や戦地訪問に求めたもの、あるいは想いはどのようなものであるのかについて論じることにしたい。そこで、さらに、遺骨収集に積極的に取り組んだひとりの元兵士による「記録」を取り上げ、そこにある現在完了進行形的時間意識と「行為をうながす記憶」という死者との関係性を軸に、より詳細な議論を進めていくことにする。最後に、遺骨収集・戦地訪問の背景にある遺骨の偏在・不在状況が、霊の遍在という状況をもたらしていることを指摘する。

言及状況

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「…波平恵美子は一九四三年三月四日付歩兵第二十九連隊大島護名による「留魂砂趣意書」に触れ、ガ島戦で遺骨の収集・送還が不可能である際に兵士が死亡した海浜の砂が「留魂砂」という名で遺族に届けられ、それが遺骨として読み替えられて(中略)… https://t.co/dTk8ITLYVS

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