- 著者
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白崎 護
Mamoru Shirasaki
- 出版者
- 関西外国語大学・関西外国語大学短期大学部
- 雑誌
- 研究論集 = Journal of Inquiry and Research (ISSN:03881067)
- 巻号頁・発行日
- vol.111, pp.165-178, 2020-03
本稿は、公的な制度の内外を問わず選挙以外の場面で市民の意見を政治へ反映させようとする活動のうち、ロビ活動・陳情・献金など政治過程への個別の接触を除く活動であり、かつ政治エリートとの協力ではなく彼らを監視する活動をカウンターデモクラシーと呼ぶ。ロザンヴァロン(Rosanvallon) によると、現代の民主主義国家において社会集団の利益を代表できなくなった政党に基づく代議制を補完するカウンターデモクラシーが、政府への牽制手段として求められている。他方、デモなどの抗議活動を含むカウンターデモクラシーに関して、政治学では活動の分類を除き研究が進んでいなかった。そこで本稿は、カウンターデモクラシーの考察に要する社会運動論の分析枠組を概観した上で、カウンターデモクラシーを促進または阻害するメディアの機能、および市民によるメディアの利用を政治学の観点より論じる。