著者
平田 一郎 Ichiro Hirata
出版者
関西外国語大学・関西外国語大学短期大学部
雑誌
研究論集 = Journal of Inquiry and Research (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
vol.114, pp.157-176, 2021-09

現在の心の哲学において主流となっているのは、世界の全ての物事は物理的であり、全ての現象は物理的な性質に還元されるという物理主義である。一方ホワイトヘッドのコスモロジーは無機的なものも含めたすべての生起が何らかの経験をしている経験の主体であるという汎経験論であるため、バークリー的な主観的観念論であるという印象さえ与えている。しかし興味深いことにホワイトヘッドは自然科学に敵対的どころかむしろ数学者出身で自然科学をも取り入れる形で、自らのコスモロジーを構想した。そのような彼のコスモロジーが物理主義とどのような関係にあるのか、むしろあえて経験という心的な出来事が遍在するということに何らかの意義はないのか。そういった問題意識によりながら、本稿ではホワイトヘッドのコスモロジーの持つ考え方を物理主義やそれを巡る諸々の主張と比較しながら、新たな自然観の可能性を考察したい。

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