著者
谷津 貴久
出版者
川村学園女子大学
雑誌
川村学園女子大学研究紀要 = The journal of Kawamura Gakuen Woman's University (ISSN:09186050)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.57-67, 2000-03-15

反応時間の確率分布モデルをデータに適用する際, 複数のモデルを比較選択する方法としてAIC(Akaike information criterion)の利用が挙げられる。しかしAICによって常に真のモデルを選択することができるのかという疑問が生じる。本稿では, 対数正規分布・ガンマ分布・複合指数分布・指数正規合成分布・指数ガンマ合成分布・ガンベル分布・ワイブル分布・ワルド分布の8種の確率分布に対して, AICにより真の分布を正しく選択できるのかどうかを計算機シミュレーションにより検証した。その結果, 複合指数分布と指数正規合成分布が真の分布である場合にははAICによって正しく選択することができず, 試行数が100以下ではどの分布も正しく選択することが困難であることが分かった。また, 真の分布にかかわらずガンマ分布が選択される率が高いという結果も得た。以上より, AICのみによって反応時間の確率分布モデルを選択することには慎重になるべきであると結論した。

言及状況

Twitter (1 users, 1 posts, 0 favorites)

反応時間の確率分布の話,だと思ったらシミュレーションだった https://t.co/ZUEs5NDEpY

収集済み URL リスト