著者
山本 欣司 Kinji YAMAMOTO
雑誌
学校教育センター年報 (ISSN:2432258X)
巻号頁・発行日
no.4, pp.13-21, 2019-03-25

小学校国語教材「おてがみ」(アーノルド・ローベル)は、一般に理解されているように、手紙をもらったことが一度もなくて落ち込んでいたがまくんが、かえるくんから手紙をもらい、元気を取り戻す物語ではない。注目すべきは、がまくんを驚かそうと思ったかえるくんが、足が極端に遅いかたつむりに手紙の配達を依頼するというドジを踏んだことである。これにより、以降の展開はかえるくんの目論見通りにならず、がまくんの喜びも幾分か減じたはずなのである。ところが、その失策がかえって思いもかけない豊饒な結果をもたらすところに、この物語のユニークな特質がある。他者の孤独を癒やすための実践的な知恵が、さりげない形で盛り込まれているところに、「おてがみ」という物語の素晴らしさがある。

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ガチ目の研究もあった、、笑 参考までにhttps://t.co/w3SP8dikE0

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