- 著者
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川﨑 瑞穂
- 出版者
- 国立音楽大学
- 雑誌
- 研究紀要 = Kunitachi College of Music journal (ISSN:02885492)
- 巻号頁・発行日
- vol.57, pp.31-41, 2023-03-31
クロード・レヴィ=ストロースのテーバイ神話群の分析に想を得た音楽分析を、本来的な意味とは異なるという指摘はあるものの「範列分析 paradigmatic analysis」と呼ぶことがある。本稿では、民俗芸能のうち、東日本を中心に各地に伝わる「三匹獅子舞」の歌を例に、範列分析の応用可能性を検討する。筆者は本誌第52集に掲載した拙稿にて、狭山丘陵南麓に伝わる二つの三匹獅子舞「横中馬獅子舞」「箱根ヶ崎獅子舞」について研究した。しかし、拙稿ではその歌について考察することができなかった。本稿ではまず、範列分析を大略紹介したのち、箱根ヶ崎獅子舞の歌の構造を提示する。その後、三匹獅子舞の「歌」の意味論を展開した石川博行の論文「おばあさんの涙」を経由しつつ、歌詞の意味論の可能性、とりわけ「相同性」に着目した分析の方向性について若干の検討を試みる。