著者
三井 美穂
出版者
拓殖大学言語文化研究所
雑誌
拓殖大学語学研究 = Takushoku language studies (ISSN:13488384)
巻号頁・発行日
vol.142, pp.279-295, 2020-03-25

アメリカ社会を理解するためのテクストとして映画を使用する場合,どのようなトピックをどのような切り口で扱うのが効果的だろうか。本稿では映画『フォレスト・ガンプ一期一会』をテクストとし,アメリカがどのように描かれているかを考察する。1994 年に製作されたこの映画は,1950 年代から1990年代はじめにかけてのアメリカ社会を背景として,一南部人の半生を描いたものである。20 世紀後半の社会の動きを知るだけでなく,1994 年当時の社会にスポットを当て,この映画が製作された土壌について考察することもできる。主人公が南部人であることから,取り上げるトピックは南部の地域性,人種問題,反体制運動の3 点とし,そのトピックを互いに関連させながら映画を解釈していく。それにより,映画に描かれているアメリカの保守的文化を浮かび上がらせ,それを取り巻く,或いは対立する動きを読み取っていく。アメリカ社会の一側面を提示することが本稿の狙いである。

言及状況

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『フォレスト・ガンプ』が公民権運動を描かなかった意味については、既に様々な論評が加えられていると思いますので「独創的」という評価は恐縮です。 ご参考に↓ 「『フォレスト・ガンプ一期一会』に見るアメリカ保守主義」(三井 2020) https://t.co/YZXE63jP82 https://t.co/HSa784M6s3
『フォレスト・ガンプ』、ここでも論じられている通り、純朴なフォレストが成功していくのと対象的に、カウンターカルチャーの代表のような生き方をするジェニーは意図的に転落ばかり描かれる。フォレストが「ガンプ」(うすのろ)であるのがこれまた巧妙ではあるんだが…。 https://t.co/QoIGbc8w79

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