- 著者
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金野 美奈子
- 出版者
- 東京女子大学現代教養学部国際社会学科社会学専攻紀要編集委員会
- 雑誌
- 東京女子大学社会学年報 (ISSN:21876401)
- 巻号頁・発行日
- vol.3, pp.17-32, 2015-03-02
婚姻は,多くの人々にとって生活の中心の一つであり価値ある人間関係を築く場であるだけでなく,物質的な生活からアイデンティティのあり方までその人のさまざまな側面を規定しうる存在である.人々がどのように自らの婚姻を経験するかは,当該政治社会が婚姻という領域をどのように位置づけ,規定し,その関係を支え,また規制するか,つまり「婚姻制度」に大きく影響を受ける.政治社会が婚姻をどのように制度化すべきかをめぐっては,それぞれの時代に応じて,議論と変革が繰り返し行われてきた.近年においてもまた,日本の文脈では夫婦別姓,またより広い文脈においては同性婚や複婚(ポリガミー)など,オルタナティヴな婚姻制度をめぐる議論が活発になっており,また制度的変革も一定程度進展してきている.