著者
川喜田 敦子
出版者
中央大学人文科学研究所
雑誌
人文研紀要 (ISSN:02873877)
巻号頁・発行日
vol.92, pp.321-342, 2019-09-30

冷戦下,朝鮮戦争後の南北朝鮮の復興にあたり,東西両陣営は競い合うかのように援助を投下した。東側陣営においては,ソ連を中心として東側諸国がそれぞれに北朝鮮の復興を支援した。本論文は,東側諸国による北朝鮮支援がどのような国際政治上の文脈にあったのかについて,第二次世界大戦後の東側陣営の戦争賠償枠組の変容との関係において検討するものである。主として旧東ドイツの文書館史料に依拠しつつ,東側諸国の北朝鮮支援の実態を明らかにするとともに,旧東ドイツの文書に当時の北朝鮮のどのような姿が映し出されているかについても確認したい。東ドイツの北朝鮮支援は,1950~60年代初頭にかけて,民間レベル,国家レベルの二つのルートを通じて行われた。とくに注目すべきは,咸興・興南という二つの重要都市の復興への協力である。この支援がその後の東ドイツと第三世界との関係構築のモデルとなるものであったことについても論じたい。

言及状況

Twitter (3 users, 3 posts, 5 favorites)

@4862f23278054e0 @star_3975 @hiromotoyuuou > 1959年 9月に本省に送った非公式の報告のなかで、在北朝鮮東ドイツ大使は、個人崇拝の確立にともない、批判精神と自由が失われつつあるという懸念を書き記している。 https://t.co/DDvN1fi1KH
川喜田敦子「朝鮮戦争後の復興支援と国際関係 : 東ドイツの北朝鮮支援を中心に」独破。北朝鮮とベトナムで2:1の比率での経済支援、グローテヴォールの息子が北朝鮮で建築支援やっていたことを知った。もっと駐北朝鮮東ドイツ大使の報告読み漁りたいっすね。 https://t.co/WZIvTdS19r

収集済み URL リスト