著者
楊 瓊 Qiong Yang Chong Yang
出版者
同志社大学大学院日本語学研究会
雑誌
同志社日本語研究 = Doshisha studies in Japanese linguistics (ISSN:21885656)
巻号頁・発行日
no.19, pp.1-11, 2015-09-30

本稿では、『万葉集』における「ゆゑ」を用いた歌を取り上げ、特に逆接の意味に解釈されることがある歌を再検討することを通して、上代の「ゆゑ」の文法的性格を考える。上代の「ゆゑ」は、「ため」と同様に目標を示すことができる点で、中古以降の「ゆゑ」より用法上の広がりをもつことを述べる。「ゆゑ」が逆接に解釈される歌においては、「ゆゑ」が実質名詞の性格を帯び、未だ因果関係を表す論理的な接続表現となっておらず、偶然的原因を示すにとどまっていると考えられる。

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#寝る前に論文読む 楊瓊/上代の「ゆゑ」の性格 https://t.co/c88MTp96AM 「ゆゑ(ゆえ)」といえばもちろん順接の表現だが、万葉集では逆接として解釈される使用例がいくつもある。筆者は、上代の「ゆゑ」を接続助詞として捉えることがそもそも危険であるとし、この時代での文法的役割を再検討する。

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