4 0 0 0 OA 「雀合戦」考

著者
村上 紀夫
出版者
奈良大学
雑誌
奈良大学紀要 = Memoirs of the Nara University
巻号頁・発行日
no.51, pp.184-169, 2023-02-28

本稿は、「雀合戦」と呼ばれる雀が群がって争う現象の情報について論じるものである。雀合戦は、繁殖を終えた雀が秋以降に集団で塒入りするもので、雀の一般的習性である。にもかかわらず、近世以降に江戸周辺でしか文献に見られないのは歴史的・文化的理由がある。この現象を最初に「合戦」という名付けをした遠州からの書状が江戸に到来し、流布したことで、それが鋳型となって天保三年(一八三二)に江戸で発生した雀の集団行動が「合戦」と理解された。「合戦」とする情報の偏在が、報告される雀合戦事例の地域的な偏りにつながったのである。「雀合戦」の噂が江戸周辺に偏在しているのは、情報が江戸に集まりやすいことに加えて、情報をストックしている知識人が多いことが原因であろう。

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PDFあり。 ⇒村上 紀夫 「「雀合戦」考」 『奈良大学紀要』第51号 (2023/3) https://t.co/SnTO02CfN9

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