著者
西 和文 佐藤 剛 福田 徳治
出版者
関東東山病害虫研究会
雑誌
関東東山病害虫研究会年報 (ISSN:03888258)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.39, pp.39-42, 1992-11-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
9

5年間堆肥連用及び堆肥無施用のコムギ立枯病自然発生圃場で, 10月下旬, 熱水土壌消毒を実施したところ, いずれの処理区においても深さ20cmの地点では地温が55℃以上に達し, 堆肥連用圃場は125l/m2及び150l/m2区では, 深さ30cmの地点でも地温は55℃以上となった。このことは, 10月下旬でも, 多くの土壌病害に対し熱水土壌消毒の防除効果が期待できることを示している。熱水土壌消毒により, コムギ立枯病はほぼ完全に抑えられた。また熱水土壌消毒区では, 無処理区に比べ生育が良好で, 穂数は増加し, 収量も増加する傾向であった。
著者
本林 隆 沼沢 健一 遠藤 佳成
出版者
関東東山病害虫研究会
雑誌
関東東山病害虫研究会年報 (ISSN:03888258)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.39, pp.261-262, 1992-11-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
1

越冬前の幼虫に対しては高い防除効果が得られた八丈島のクワゴマダラヒトリNPV散布地域において, 越冬後幼虫の密度が無散布地域と同レベルもしくは高くなる現象が認められた。そこで, その原因を明らかにするため, NPVの散布回数を増加したり, 春先の幼虫の移入が起こりにくい地域で散布試験を行った。その結果, 越冬前の調査では, NPVの1回の散布によって幼虫密度は無散布区の約1/150の0.1頭/m2に低下し, 2回の散布と同等の防除効果が得られたが, 春先の越冬後幼虫の密度は0.6頭/m2と増加した。一方, 幼虫の移入が起こりにくい隔離散布区では, 越冬前, 後とも幼虫密度は0頭/m2であった。このことから, NPV散布地域で, 越冬後の幼虫密度が越冬前に比べ増加するのは, 越冬後の幼虫の分散に伴う散布地域周囲からの移入によるものと考えられた。