著者
西 和文 佐藤 剛 福田 徳治
出版者
関東東山病害虫研究会
雑誌
関東東山病害虫研究会年報 (ISSN:03888258)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.39, pp.37-38, 1992-11-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
9

夏作ダイズの黒根腐病防除対策として熱水土壌消毒を実施したところ, その効果は次作コムギにも持続し, 立枯病の発生が抑制された。これは, 熱水土壌消毒の防除効果が, 目的とする病原菌だけでなく, 同一圃場内に混在している他の病原菌などにも及び, かつその効果が次作にも持続したためと考えられた。
著者
小河原 孝司 冨田 恭範 西 和文 西宮 聡 窪田 耕一
出版者
関東東山病害虫研究会
雑誌
関東東山病害虫研究会報 (ISSN:13471899)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.53, pp.35-39, 2006-12-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
4

メロンつる割病レース1が前作で多発生した現地のビニルハウスにおいて, 熱水土壌消毒の防除効果およびその持続効果について検討した。サブソイラーを用いて深さ50cm程度まで耕私後, 2003年6月中旬に熱水土壌消毒装置を用いて約200L/m2の熱水を処理し, 約1週間放置した。処理期間中の最高地温は, 深さ30cm位置で64.7~92.9℃と, 高温を維持した。熱水処理前に深さ30cmまでの土壌から Fusarium 属菌が検出されたが, 処理後には深さ10cmで未検出, 深さ30cmでは菌密度が低下した。7月中旬にメロン品種「アールス雅春秋系」を定植したところ, 収穫時における発病株率は0~0.5%と, 高い防除効果が認められた。その後, 土壌消毒を行わず, 2003年12月下旬にメロン品種「オトメ」を定植したところ, 2月中旬 (交配期) には発病株率が37%と高くなった。生物検定法により, ハウス内土壌のつる割病菌の汚染程度を調査したところ, ハウス全体に菌が蔓延していた。
著者
西 和文 林 浩之 佐藤 剛 福田 徳治
出版者
関東東山病害虫研究会
雑誌
関東東山病害虫研究会年報 (ISSN:03888258)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.38, pp.55-58, 1991-11-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
13

ダイズ白絹病菌 Corticium rolfsii 菌核を埋没した圃場に熱水土壌消毒を実施したところ, 本法は, 埋没菌核を死滅させる効果の高いことが明らかとなった。しかし, 地温が低く, あるいは熱水注入量が少ないため, 地温の上昇が不充分な場合には, 土壌深部の菌核は死滅しなかった。熱水土壌消毒の効果は圃場の耕種条件によっても異なり, 堆肥無施用圃場より堆肥連用圃場での効果が高かった。本試験の結果から, 熱水土壌消毒はタイズ白絹病の防除に対して有効であると考えられた。
著者
西 和文 佐藤 剛 福田 徳治
出版者
関東東山病害虫研究会
雑誌
関東東山病害虫研究会年報 (ISSN:03888258)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.39, pp.39-42, 1992-11-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
9

5年間堆肥連用及び堆肥無施用のコムギ立枯病自然発生圃場で, 10月下旬, 熱水土壌消毒を実施したところ, いずれの処理区においても深さ20cmの地点では地温が55℃以上に達し, 堆肥連用圃場は125l/m2及び150l/m2区では, 深さ30cmの地点でも地温は55℃以上となった。このことは, 10月下旬でも, 多くの土壌病害に対し熱水土壌消毒の防除効果が期待できることを示している。熱水土壌消毒により, コムギ立枯病はほぼ完全に抑えられた。また熱水土壌消毒区では, 無処理区に比べ生育が良好で, 穂数は増加し, 収量も増加する傾向であった。
著者
森谷 茂 渡邊 和洋 西 和文
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.45, pp.76-79, 1994-11-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
14

アブラナ科野菜根こぶ病菌に汚染された圃場を供し, ハクサイ根こぶ病に対する熱水注入による土壌消毒効果を検討した。約70℃の熱水を, 圃場全面及び畦面に深さ20cm層が55℃になるまで注入した区のハクサイの生育・収量は, 無処理区より著しく勝り, クロルピクリン注入区 (以下クロピク注入区) と大差がなかった。根こぶ病は播種後24日目ではいずれの区も発生が認められなかったが, 播種後33日目では無処理区, クロピク注入区, 熱水全面注入区にそれぞれ13%, 5%, 2%の発生株が認められた。播種後88日目の収穫時における発生程度は, クロピク注入区>>無処理区>熱水畦面注入区>>熱水全面注入区の順であった。また, クロピク注入区と熱水注入区では発芽期でのヨトウムシ類による被害が無処理区より極めて少なく, 熱水注入による殺虫効果も認められた。汚染土壌を温湯浸漬処理したポット栽培試験では, 各処理区の発生程度は無処理区よりいずれも減少したが, 発生が全く認められなかったものは55℃: 240分処理区だけであった。
著者
窪田 昌春 佐藤 衛 西 和文 篠原 信
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.1-9, 2010 (Released:2010-09-06)
参考文献数
32

無処理では,トマト苗のほぼ100%が発病する青枯病激発圃場において,耐病性台木(「LS89」,「がんばる根3号」)への接ぎ木苗を利用することにより,発病遅延が認められた。それに加え,土壌深度約70 cmまでの深耕と籾殻の大量(10 kg/m2以上)投入により透水性を改善した後に,熱水土壌消毒処理(95℃,250 L/m2)を行った場合には,発病株率が40%以下となり,大きな防除効果が得られた。土壌温度も,深度50 cmの地点で,熱水処理のみの区での約35℃に対し,透水性改善区では60℃以上まで上がり,消毒効果が立証された。本圃場では微生物資材「セル苗元気」,熱水土壌消毒のみによる防除効果は認められなかった。土壌中の青枯病菌密度は,無処理,熱水処理のみの区では熱水処理後 103 cfu/g 乾土オーダーから発病開始後に急増したが,前述の透水性改善区では,2年目以降,無処理区等の発病開始時まで,本試験での検出限界(102 cfu/g 乾土オーダー)付近以下に抑えられた。