著者
井田 正道
出版者
明治大学大学院
雑誌
明治大学大学院紀要 政治経済学篇 (ISSN:03896064)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.159-172, 1988-02-10

Ⅰ 1987年練馬区長選挙の立候補者と選挙戦 1.田畑区長の引退と2人の立候補者 1987年の練馬区長選挙は、1974年に区長公選制が復活して以来、4回目の選挙である。過去3回の区長選では、いずれも田畑健介氏(無所属)が当選を果たし、3期にわたって安定した田畑区政を築いてきた。田畑氏は、1回目(1975年)の選挙では、社会党、共産党、民社党、公明党の4党の推薦、支持を受け、自民党推薦の無所属、正木英世氏を激戦の末破って初当選した。そして、2回目、3回目の選挙では、田畑氏は自民党の推薦も得て、全党相乗りのかたちで、楽々と勝利を収めてきた。 しかし、その田畑区長は、1986年12月9日、練馬区議会第4定例会において、健康上の理由から翌年4月の区長選には出馬しない旨を表明し、練馬区は久しぶりに新しい区長を迎えることが確定した。
著者
佐藤 幸男
出版者
明治大学大学院
雑誌
明治大学大学院紀要 政治経済学篇 (ISSN:03896064)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.241-258, 1974-12-01

日常生活の中で我々は「選挙」、「就職」、「結婚」とかの決定を迫られたり、定めなけれぽならない状況が数限りなく存在している。この意思決定の問題は人間の社会生活だけに限らず、経営レヴェル、国家レヴェルにおいても複雑な構造をもち、人間一人では解決されない幾多の難問をかかえこんでいる。『三人寄れば文珠の智恵』という諺にもあらわれているように、このような難問を解決する為に、集団や組織が構成される。多段階組織では中井正一氏のいう「正しく考え、それを他に対して正しく主張する」ことが、いかなるメカニズムを通して疎外されたり、行なわれたりして合理的な決定を生みだすのか。筆者の論点はそこにあり、研究対象にもなる。
著者
井田 正道
出版者
明治大学大学院
雑誌
明治大学大学院紀要 政治経済学篇 (ISSN:03896064)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.161-172, 1987-02-10

未成年期における政治意識の形成過程に関する研究は、政治的社会化研究という名の下でここ30年近くにわたって欧米で蓄積されてきた分野である。なかでもアメリカにおける研究蓄積は、膨大な数にのぼる。それに対して、わが国では、政治的社会化という言葉自体、まだ馴染みがうすく、研究蓄積も未だ寒々しい状況にある。確かに、戦後日本はしばらくの間、政党制と社会構造の変容が激しく、成人後の政治行動に及ぼす初期社会化の影響力は欧米に比べ、かなり弱かったと考えることは可能であるし、そのことが日本における実証研究を遅らせた一因となっていたのかもしれない。しかし、今日の青年層1)は、55年体制成立後少なくとも15年以上経た後に初期社会科を経験しており彼らの政治意識の形成に関しては、家族をはじめとする初期往会化のエージェントの影響力がかなり大きく作用し、しかも今後におけるその影響力の残存も相当のものがあると思われる。