著者
澤田 昭三 中村 典 田中 公夫 李 俊益 美甘 和哉 佐藤 幸男
出版者
広島大学
雑誌
核融合特別研究
巻号頁・発行日
1988

ヒトのリンパ球は末梢血中では分裂しないので放射線の線量率依存性を調べるのには最適である。そこで細胞死を指標としてトリチウム水とガンマ線を同じ線量率、2Gy/hrと2Gy/day、つまり線量率を24分の11に下げた時の細胞生存率を調べたが、トリチウム水でもガンマ線と同程度の細胞生存率の上昇がみられた(中村)。同じくヒトのリンパ球染色体に及ぼすトリチウム水の影響を調べ、ガンマ線に対するRBEを求めた。今回は特に観察誤差の少ない=動原体染色体のみを指標として10〜50cGyの低線量域のRBEを正確に求め2.6(含水率70%)を得た(田中)。ヒト精子染色体に及ぼすトリチウム水の影響について前年度に引きつづいて調べた。線量も25〜17.3cGyの低線量域に主力をおき、2年間で合計3132精子の染色体分析を行った。染色体異常頻度は線量の増加とともに193cGyまでは直線的に増加したが、それ以上の線量では飽和に近ずき、直線にのらなくなった。これらの結果と今までに得ているX線のデータと比較してRBEを求めた。出現する種々の染色体異常を指標としたRBEは吸収線量を最低に見積った時は1.9〜3.0、最大の場合は1.04〜1.65となった(美甘)。マウス胎仔脳の発育に対するトリウチム水の影響を調べるための予備実験がガンマ線を使ってつづけられているが、脳細胞の致死を指標とする場合は、トリチウム水のような低線量率被爆の影響を正確に把握することは困難なことがわかった(佐藤)。マウスの妊性低下に及ぼすトリチウムの影響を調べたが、線量・効果が明確でないこと及びデータにばらつきがあって今後の研究が必要と思われた(李)。有機結合型トリチウムのマウス初期胚に与える影響を調べ、吸収線量を基礎としたLD_<50>は核酸結合型で約1/20、アミノ酸結合型では1/5ほどトリチウム水に比べて低かった(山田)。体内トリチウム水の排泄促進剤として二種類の利尿剤の併用効果をねらったが十分な結果はえられなかった(澤田)。
著者
岡田 重文 森川 尚威 佐藤 幸男 土屋 武彦 酒井 一夫 二階堂 修
出版者
京都大学
雑誌
エネルギー特別研究(核融合)
巻号頁・発行日
1985

本計画研究は、トリチウム各種化学形の中、ヒトに最も取り込まれ易く、障害の主役と考えられるトリチウム水に絞り、それによる障害の研究をヒトを念頭におきながら推進しようとするもので、本年度は3ケ年計画の第2年度となる。1.トリチウム安全取り扱い法:トリチウム実験においてインベントリィ(回収トリチウム/使用トリチウム比)を取るには手間がかかるが、システムさえ作ればルーチンで行え、トリチウムのR工管理の鼎ともなる。トリチウム水の廃棄は、コンクリート・バーミキュライトによる固化法を開発し始めた。2.障害のメカニズムの研究:トリチウム水による細胞死のRBEはDNAの修復不能切断で説明できそうである。ハムスター胚細胞のがん化及びそのRBEは、染色体異常中の染色体異数性(トリソミイ、モノソミイ)と関連を示している。低濃度トリチウムによる前処理はハムスター細胞を放射線誘発SCE、小核形成に対し修復系を活性化し低抗性にする。マウス個体ではトリチウム水前処理により、免疫能の増加が見られた。3.RBE:ヒト細胞;繊維芽細胞、1.4,甲状線細胞、1.7-2,末梢血淋巴球では線量率依存性を示し1.8-4以上。個体のRBEについては雌マウスで、卵母細胞が線量率依存性を示し1.1-3以上、胞胚形成、胎盤形成及び胎児形成の障害のRBEはいづれも約1、ラットの奇形発生では、1.3-3以上。4.進捗中の研究・マウスのトリチウム水およびガンマ線による発癌実験では早期に胸線型淋巴性白血病が発生、後期になると9種類以上の固形腫瘍が見つかっている。放射線治療患者で末梢血中で、赤血球系幹細胞BFU-Eの減少が見出され、これは将来ヒト障害のモニターとなるかもしれない。
著者
澤田 昭三 中村 典 田中 公夫 重田 千晴 李 俊益 佐藤 幸男
出版者
広島大学
雑誌
核融合特別研究
巻号頁・発行日
1987

1)母親の胎内で原爆破爆した子供の多くに極度の知能発育遅滞がみられ, 大きな社会問題となっている. そこで知能発育に対するトリチウムのリスクを推定するためマウスによる基礎実験を行なった. その結果, ガンマ線の急照射では脳細胞死は容易に検出されたが, 緩照射では死亡率が大幅に低下した. 一般にトリチウムは緩照射のため脳細胞死の検出方法を今後検討しなくてはならぬ(佐藤).2)マウスの卵母細胞に対するトリチウムの致死効果が妊性にどの程度影響するか調べたところ, トリチウムを16ラド以上照射すると対照群に比べて明らかに妊性が低下するが, ガンマ線ではもっと多量の線量を照射しないと低下しない(李).3)マウス皮膚創傷部からのトリチウム水の吸収速度は傷の種類によって異なるが, 傷の組織学的な観察を行なったところ, 傷害度と吸収速度がよい一致を示すことがわかった. また, すり傷からのトリチウム水の吸収は脂溶性塗布剤では完全に抑制できなかった(澤田).4)ヒト骨髄細胞のうち赤芽球幹細胞BFUーEに対するトリチウムの致死効果を調べ, ガンマ線に対するRBEとして1.3を得た(重田・大北).5)ヒトのリンパ球の染色体異常と小核出現率を指標としたトリチウム水のRBEはそれぞれ2.8と2.6が得られた(田中). また, リンパ球の致死を指標とするとRBEは2.8となった(中村).6)トヒ精子染色体に対するトリチウム水の影響を調べ, X線に対するRBEとして2.3が植られた(美甘ら).7)マウス3T3細胞に対するトリチウム水の影響を生存率, 癌化率及び突然変異率を指標としてRBEを求めたが, 生存率では1.0,癌化率では1.7が得られ, 突然変異に関しては十分な結果が得られなかった(榎本).8)マウス受精卵の胚盤胞形成を指標として有機結合型トリチウムの影響を試験管内で定量的に調べ, トリチウム水に比べ100〜10000倍も強い影響を与えることがわかった(山田).
著者
黒木 英充 飯塚 正人 臼杵 陽 佐原 徹哉 土佐 弘之 間 寧 栗田 禎子 佐藤 幸男
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

地域間交流の問題は昨今盛んに議論されているが、東地中海地域は世界最古の文明を発達させ、古来活発な地域間交流を実現してきた。それは地中海という海域とその周辺地域における人間の空間的移動が極めて円滑であったことに拠っている。また、同地域では言語的・宗教的・文化的に多様な複合的性格をもつ社会が形成されてきたが、人間が文化的共同体の間を移動したり、その複合性を都市空間や文化活動で重層化したりする営みも見られた。この「明」の側面と、近現代においてパレスチナ問題を初め、バルカンの民族紛争、レバノン内戦、キプロス分割など、民族・宗派的対立もまたこの地域で進行してきたという「暗」の側面が、これまで別個に論じられてきたばかりで、両面を統合的に把握する努力が顧みられなかった。この欠を埋めて、民族・宗派対立問題に関する新たな解釈を打ち出し、人間の移動性がますます高まりつつある世界における文明交流の枠組み作りに資する知見を得るため、4年間にわたり、海外調査や国内での研究会、国際ワークショップを重ねた結果、次の点が明らかになった。1) 移動する人間に対する「保護」の観念が、東地中海地域で歴史的に深く根付き、それが制度化されてきたが、19世紀半ば以降、これが換骨奪胎され、「保護」の主体が法的基盤を持たぬまま入れ替わったことにより、現代の対立状況が招来された。2) 新たな「保護」のシステムを支える普遍的価値の創出が望まれる。これは現代の東地中海地域における民族・宗派問題の解決可能性を考慮するならば、一元的尺度による統治の実現をめざすのではなく、当該地域の複合的性格を反映した他者を包摂する弾力性に富んだ多元的な統治システムをめざすべきである。今後は、1)をふまえたうえで2)の点について、多角的で学際的なアプローチを展開する必要があろう。本研究はその方向性を明確に指し示すことができた。
著者
森田 尚樹 佐藤 幸男 櫻井 裕之 横堀 將司 石川 秀樹 梶原 一 海田 賢彦 松村 一 福田 令雄 濱邉 祐一 磯野 伸雄 田上 俊輔 藤原 修 副島 一孝 新井 悟 佐々木 淳一
出版者
一般社団法人 日本熱傷学会
雑誌
熱傷 (ISSN:0285113X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.76-89, 2022-09-15 (Released:2022-09-15)
参考文献数
17

東京都熱傷救急連絡会は熱傷救急ネットワークとして参画施設よりデータを収集, 分析し熱傷に関する啓発活動等を行っている. 今回1991年から2020年の30年間分9,698症例のデータを5年ごとに分け分析し, 熱傷症例の傾向を検討した.  総症例数に大きな変化は認めず, おもな受傷原因はflame burn, scald burn, inhalation injuryの順に多かった. 平均熱傷面積は有意に減少を認め, 平均年齢は有意に上昇し, 死亡率は有意に低下を認めた. 死亡症例の平均年齢は有意に上昇し, 平均熱傷面積は減少した. 死亡症例のBIは有意に減少したが, PBIは変化を認めず, 100をこえると死亡率は60%以上となった. 原因別症例数推移は, scald burnは増加傾向を, inhalation injuryは有意に増加した. これに対し, flame burnは有意に減少を認めた. Flame burnでは火災, コンロ等, 自傷行為, scald burnではポット・鍋の湯・油, 熱い食べ物, 風呂・シャワーがおもな受傷原因であった.  年齢別症例数は, 年少年齢 (0~14歳) ではポットの湯や油によるscald burn症例が増加傾向にあり, 対して火災によるflame burn症例は減少傾向を示した. 生産年齢 (15~64歳) では火災や自傷行為によるflame burn症例は減少傾向を認めた. 老年年齢 (65歳以上) では火災, コンロによるflame burn, 熱い食べ物, ポットの湯によるscald burnで症例数の増加を認めた. 出火原因はタバコの火の不始末 (不適当な場所への放置), 焚火, コンロが多く, 今後高齢者人口の増加に伴い, タバコの火の不適切な場所への放置, 焚火への注意喚起や, コンロ等のIH化や難燃性の衣類の推奨, ポットや鍋等の熱い食べ物による熱傷に対する啓発活動が重要であると考える.
著者
佐藤 幸男 YAKOVLEV Ale BONDER Alexa RAZJUK Rosen CHERSTVOY Ye LAZJUK Genna 松浦 千秋 武市 宣雄 大瀧 慈 AKOVLEV Alexander ALEXANDER Ya ALEXANDER Bo ROSENSON Raz YEGENY Chers GEUNADY Lazj ROSENSON(DMI(ローゼンソン(ドミトリ) ラジュク) YEVGENY Cher GENNADY Lazj
出版者
広島大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1993

研究目的1996年はチェルノブイリ原子炉事故から早くも10年目を迎える。我々は事故後4年目の1990年からベラル-シ、ウクライナ共和国の被災地に赴き、特に1992年からは約10数回現地に出向してチェルノブイリ核被災の後障害の調査を行ってきた。その目的は、広島型原爆とは被曝の形の異なる、急性外部および慢性内部被曝が人体にもたらす影響の全体像の把握に務め、その結果を今後の疾病の診断や治療の参考に供する基礎的資料を提供することにある。さらに、現場での観察の視点を重視し、放射能被災を過大又は過少評価することなく種々な専門的立場からの調査・研究をすすめ、その作業過程での人的交流の深まりが核の被災のない社会の創造に向けての一里塚になるであろう事を期して、今後も長期にわたる交流を継続する事も本調査・研究目的の大きな部分を占めていると考えている。研究の内容・方法先天異常研究の内容・方法チェルノブイリ原子炉事故の被災は、ウクライナ、ベラル-シ、ロシアに及ぶがその汚染面積や人的被災はベラル-シ共和国において顕著である。ベラル-シのミンスク遺伝性疾患研究所では1970年代から先天異常児登録のモニタリングシステムを確立し各地から送られる先天異常児の剖検、病理組織的検索、細胞遺伝学や生化学的諸検査も行われている。我々はそこでの共同調査、研究を志向し胎児の剖検、組織検索、資料の検証などを行った。放射能災害が生じた場合、妊婦が被曝すると流産、死産および胎内被曝の結果としての先天異常が最小に生じ、被曝の初期像を観察するのには不可欠な指標である。一方、精原又は卵母細胞が被曝した結果生じる遺伝的な先天異常の観察は長期にわたる観察が必要である。先天異常は放射能事故前も事故後も存在し、且つそれらの多くは複数の遺伝子と環境要因の相互作用で生じる多因子のものが多くを占め突然変異によって生じる骨の異常などは多くはない。そのため、放射線依存性の異常の同定にも長期にわたる資料の収集と解析が必要となる。我々は現地における約30,000例の剖検資料を事故前と事故後、およびセシウム137高濃度汚染地区と低濃度汚染地区(対照)に区分しそれらの発生頻度の差異を調べた。現在も個人や地域の被曝線量の資料の発掘や資料の収集を継続中である。小児甲状腺癌研究の内容・方法事故後数年頃から汚染地区での小児甲状腺癌の増加が指摘され始めた。ベラル-シではミンスク甲状腺腫瘍センター、ウクライナではキナフ内分泌代謝研究所に集約的に手術例が集まるシステムが確立されている。我々は汚染地域での調査や検診と併行して同研究所での小児甲状腺癌の病理組織標本検証、ヨード131との被曝線量依存性、統計的資料の収集、甲状腺ホルモンの機能検査、癌遺伝子活性の解析などを行った。結論・考察先天異常調査の結論・考察 事故後の高濃度汚染地区から得られた人工および自然流産児両群の剖検例に、低濃度汚染地区から得られた対照児の剖検例よりも高頻度に先天異常が認められた。その傾向は1986年から1年間の胎内被曝例で顕著であった。事故前と事故後の剖検例での比較でも事故後に奇形の多い結果が得られた。奇形の内容は多岐にわたき多指症など突然変異によるものの頻度の増加は軽度で放射線被曝以外にも複数の環境要因の関与が示唆された。小児甲状腺癌の結論・考察 広島の原爆被曝者にも例をみない本疾患の発生は現在ベラル-シ、ウクライナで400例を超えている。それらの多くは乳頭癌で、且つ1.5cm以上の大きさの、いわゆる臨床癌に属するものでありヨード131高濃度汚染地域で多発の傾向にある。セシウム137やストロンチウム、プロトニウムの関与、線量依存性の調査は今後の課題である。少数例乍らも小児甲状腺癌の病理組織標本からRET癌遺伝子活性が検出可能となり、その増加がゴメリ地方の高濃度汚染地域で認められ、放射線被曝との関連性がより濃厚となった。
著者
佐藤 幸男
出版者
広島文化女子短期大学
雑誌
広島文化女子短期大学紀要 (ISSN:09137068)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.39-46, 1997-09-30

Since the Chernobyl nuclear power plant accident in 1986, research and investigations in the fields of Medicine, biology, physics have been carried out by many public and private groups visiting the spot. They have sought to provide supportive exchanges of information on the effects of radiation. The major focus of the research has been general residents who were externally exposed to radiation, and are suffering from chronic internal exposure. The firefighters and young soldiers on the reserve list (to be called liquidators hereafter) who were engaged in getting rid of radioactive materials right after the accident, whose health has been a subject of concern of many countries and various groups, were the first ones to suffer acute external exposure followed by chronic internal exposure. Recently, some reports indicate that amnesia and psychosomatic abnormalities have been identified. Data has begun to be gathered and this has brought about arguments in the academic circles in Chernobyl. The debates range from a theory that well-differentiated nerve cells, which have been thought to be radio-resistant, are directly injured by radiation, to a theory that the illness is due to stress, or to a theory that resulting sickness is due to the damage of the vascular system which gives nourishment to the brain-cells. None of thse has been established as a firm theory yet. Regardless of the resulting discussions or hypothesis, actual observation remains an important factor. The fact that various kinds of psycho-neurological abnormalities have been observed among the liquidators is being discussed by the specialists at the site as a fact known to all, whereas in Japan such information is scarce. On the other hand, psychosomatic cases such as the so-called Burabura-disease among atomic-bomb exposure cases have not been studied enough, and so this field has been an Achilles heel in the study of late effects of the atomic-bomb exposure. The results of interviews and exchanges of data and reference materials by the visits at several related organizations such as Moscow Research Istitute Psychiatry (Director: Prof. V. H. Krasnov). Institute Neurosurgery Academy of Medical Science of Ukraine (Director: Prof. Y. P. Zoozulya) and so on will be outlined here. The research carried out so far by each institute has turned out to be somewhat similar in result through the collected information gained from research institutions in Moscow and Kiev. It is recognized by many scientists and doctors that a follow-up survey is required on the health condition of the liquidators in their 46 20s to 50s at the time of the accident, but there have been few chances so far to see specific survey results. The number of liquidators from the Republics of Russia, Ukraine, and Belarus is said to be between 400,000 and 500,000, many of whom have had somatic and psychological problems and social problems as well. Three to four years after the accident psycho-neurological disturbances came to stand out, and pilot study research began. The major theory is that psycho-neurological disturbances causing problems include depressive, neurosis, amnesia, chronic headache, degradation of concentration, sleep disturbance, impotence and so on, complicated by some physical abnormalities such as the disturbance of liver function, abnormal endocrine function, etc. The causes of these late-effects are said to be due to not only various kinds of radiation but also various kinds of heavy metals which were used in trying to put out the fire at the nuclear power plant or emitted from the nuclear power plant. The psycho-neurological disturbance is not effectively treated by medical drugs for psychopathia only, but in combination with somatic therapy better results may be obtained. It has become difficult for many of the liquidators of continue with normal social life, with higher rates of leaving work places or getting divorced among them. There are grave problems including social compensation (security) for the bereaved families of liquidators. Several years have already been spent there for the above research and investigations, and judging from limited information, only about 20.000 cases were examined in the investigation and less than 1.000 cases could provide detailed physical examinations from among 400,000 to 500,000 liquidators. Perhaps economic limitation is the cause, but the investigation and the measurements have just started to be carried out. How far or how universally the data gained so far will be applied to all the liquidators is still to be seen. Long term studies may reveal the larger picture of the lasting effects of exposure.
著者
橋本 礼児 服部 数幸 佐藤 幸男
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.34, no.10, pp.2193-2201, 1993-10-15
被引用文献数
5

本諭文は距離画像を多数の視方向から観測できる条件のもとで適当な視方向を能動的に選択して多面体を認識するアルゴリズムについて述ぺている。モデルは3次元的な面関係グラフによって記述される。距離画像は観測視方向が変化しても対象物の絶対的な位置や大きさを計測できることから、入力対象を同様に面関係グラフとして記述し、モデルのグラフとの間で部分グラフマッチングを図って認識を行っている。その結果、認識対象モデルが一意に決定できない場合は候補モデル間で特徴の差を呈する方向を検索し、そこに視点を移動して再び認識を試みている。論文では多面体認識のためのモデルの記述方法およびマッチング手法について述べ、さらに視方向選択のための姿勢変換法と視方向決定アルゴリズムについて述べている。これbの方法は計算機シミュレーションによる実験によって動作が確認された。
著者
佐藤 幸男
出版者
明治大学大学院
雑誌
明治大学大学院紀要 政治経済学篇 (ISSN:03896064)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.241-258, 1974-12-01

日常生活の中で我々は「選挙」、「就職」、「結婚」とかの決定を迫られたり、定めなけれぽならない状況が数限りなく存在している。この意思決定の問題は人間の社会生活だけに限らず、経営レヴェル、国家レヴェルにおいても複雑な構造をもち、人間一人では解決されない幾多の難問をかかえこんでいる。『三人寄れば文珠の智恵』という諺にもあらわれているように、このような難問を解決する為に、集団や組織が構成される。多段階組織では中井正一氏のいう「正しく考え、それを他に対して正しく主張する」ことが、いかなるメカニズムを通して疎外されたり、行なわれたりして合理的な決定を生みだすのか。筆者の論点はそこにあり、研究対象にもなる。
著者
服部 数幸 佐藤 幸男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.1528-1535, 1993-08-25
参考文献数
12
被引用文献数
38

本論文は時系列空間コード化法に基づいた新しいレンジファインダのシステムについて述べている.光パターンを生成する光源としては半導体レーザを用いており,レンズ系によって生成されたスリット状の光をパターンに従い時系列的にスイッチングしながらガルバノミラーで走査して光パターンを生成している.レーザおよびミラーはCCDカメラの垂直同期信号と同期して動作し,カメラの1フレーム時間内に各光パターンが生成され,その投影像が撮像される.光パターンの生成,切換えにむだ時間がないため,約0.3秒で8枚の光パターンの照射と撮像が行われ,距離測定精度が約1%の512×256画素の距離画像を得ることができる.光学系は極めて小型に形成され(W:140mm,H:35mm,D:95mm),軽量であるため(680g),ロボットの視覚など広い用途が見込まれる.本論文ではレンジファインダのシステムの構成,専用画像処理システムについて述べている.またいくつかの計測結果を示し,本システムの有効性について論じている.
著者
佐藤 淳 佐藤 幸男
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究では、カメラ画像から得られる対象物の位置や形状の情報を音の位置で表現する方法や、視覚情報と音響情報との3次元的な整合性を取る方法を探求した。まず、ステレオカメラが復元した3次元画像空間と、音響制御装置が持つ3次元音響空間と、ユーザが持つ3次元聴覚空間の関係を調べた。ステレオカメラが校正されていない場合、カメラにより復元した空間は3次元射影変換の不定性を持つ。また音響装置が校正されていない場合には、3次元音響空間にはやはり3次元射影変換の不定性が存在する。さらにこのインターフェイスを使用するユーザの聴覚感覚には個人差があるが、相対的な位置感や相対的な距離感が保存されると仮定すると、ユーザの聴覚感覚の個人差は3次元アフィン変換により表せることが明らかになった。そこで、ステレオカメラと音響装置との関係を3次元射影変換で直接表現し、基底音をユーザに与えてこの3次元射影変換を求めることにより、聴覚の個人差を吸収しつつ、カメラで撮影した物の位置を音の位置で表現する方法を開発した。次に、得られた視覚音響弱校正理論を複合現実感に応用し、視覚情報と聴覚情報との3次元的な整合性を取ることにより、より臨場感を増強する手法の開発を行った。この時、複数のカメラ同志がお互いに投影しあうカメラの相互投影の情報を積極的に用いることにより、視覚的3次元情報の計算安定性を格段に向上させることが可能であることを示した。このような視覚的3次元情報を聴覚的3次元情報と結びつけることにより、複数ユーザが存在する状況下において、それぞれのユーザごとに視覚情報と聴覚情報の3次元的整合性を取る手法を示した。実際に音と映像を用いた仮想対戦システムや仮想楽器を実現し、視覚的3次元情報と聴覚的3次元情報との幾何学的な整合性を取ることの重要性を明らかにした。
著者
佐藤 幸男
出版者
日本評論社
雑誌
からだの科学 (ISSN:04533038)
巻号頁・発行日
no.176, pp.p6-12, 1994-05
著者
天野 敏之 佐藤 幸男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.85, no.3, pp.457-465, 2002-03-01
被引用文献数
58

本論文では,固有空間法を用いた画像補間法により,文字などのテロップを含む1枚の画像のみを用いて文字を補間により消去する手法を提案する.風景画などの画像はフラクタル的な性質があり,画像の自己相関性が仮定できる場合が多い.筆者らはこの点に着目し,欠損を含む1枚の画像のみから固有空間により画像を記述するルールを表現した.このように生成された固有空間は,画像の特徴を反映しており,この固有空間を用いることにより画像補間を実現した.本補間手法はオリジナル画像を復元するものではないが,実験の結果画像の自己相関性が成立する画像については違和感なく補間できることが確認された.
著者
児玉 充晴 梅崎 太造 佐藤 幸男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.87, no.2, pp.278-286, 2004-02-01
被引用文献数
1

オープン系ネットワークの進展や労働人口の流動化など,企業をとりまく環境の変化とともに,近年「社内からの情報漏えい対策」の重要性がクローズアップされている.この中で,一般の企業において,既存の業務システムヘのコストパフォーマンスの良いセキュリティ機能の強化は大きな課題となっている.本論文では実際に発生した情報漏えい事件をモデルとして,司直の見解に基づきセキュリティ機能に必要な要件を整理している.また,実際に導入した指紋認証を用いたセキュリティシステムに対する検証を行った結果,実用的なセキュリティ対策が可能であることが判明したので報告する.更に,セキュリティシステムの一部をデータセンタに設置して,複数の企業で共同利用する形態への発展について提案する.
著者
西尾 裕志 山内 航一郎 佐藤 幸男
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.26, pp.1-8, 2004-03-05

近年CGや服飾の分野など 実在する人物の3次元全身計測データが必要とされる場面が増加しており すでにいくつかの人体計測装置が開発・利用されている.しかし計測データそのままでは各種分野への応用は難しい.これは計測データが人体データとしてモデル化されていないことによる問題である.そこで本稿では人体の全身計測データに対し あらかじめ用意した人体パッチモデルをアクティブバルーンモデルの原理を用いてフィッティングすることを考える.本手法では一般的なCGソフトで作成された人体データを人体モデルとして使用することを前提としており 人体モデルの構造に依存しないモデル化を行うことが可能である.またフィッティングの際に問題となる姿勢合わせについては少数の特徴点を指定することで解決する.Recently, it has been increasing that a demand for a range data of human body in the fields of Computer Graphics or apparel, and some 3D human body measurement system have been used. However, it is difficult to apply these range data to various fields, because these data is not modeled as a human body model. In this paper, we propose a method for modeling a human body from a range data by the principle of Active Balloon Model. It is premised on using a human CG data created with a general CG software as the human body patch model. And we also solve the problem about normalization of human model posture by specifying a few feature points.