著者
石井 智恵美
出版者
文教大学
雑誌
教育学部紀要 = Annual Report of The Faculty of Education (ISSN:08332144)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.298-276, 2019-12-20

名古屋市蓬左文庫所蔵の茶会記『茶会集』を前報告に引き続き、今回は茶会3を評釈する。この茶会は将軍家光が毛利甲斐守秀元に命じて江戸城内の山里御数寄屋で開いたものである。この時の山里は秀忠が将軍であったときに古田織部に命じて作事させたものであるが、この茶会に際して特に作り替えたりはせず、茂った枝を払い、枯れた木を植え替えたりして、そのまま使ったことが『毛利家記』に記されている。この茶会の正客は家光、相伴客は阿部備中守正次、永井信濃守尚政、堀田加賀守正盛、柳生但馬守宗矩であったが、その他、御殿での饗応を受けた御供の衆は一千余人、山里にての振舞を受けた者は三百余人と記されており、大規模な茶会であった。