- 著者
-
堀 泰智
村上 春翔
佐藤 千早
中川 明奈
三浦 弘
菊池 元宏
大浪 洋二
- 出版者
- 日本獣医循環器学会
- 雑誌
- 動物の循環器 (ISSN:09106537)
- 巻号頁・発行日
- vol.42, no.2, pp.37-42, 2010 (Released:2010-11-06)
- 参考文献数
- 24
13歳のビーグル犬が腹囲膨満と呼吸器症状を主訴に来院した。胸部X線検査から心拡大が確認され,心エコー図検査から三尖弁閉鎖不全症が診断された。右心房圧は正常であったが,右心室圧は上昇していた(収縮期/拡張末期;69/5.0 mmHg)。血中ANP濃度は正常範囲であったが,血中NT-proBNP濃度は1,583 pmol/Lと高値であった。内科治療としてエナラプリル,トラセミド,メチルジゴキシンを処方したところ,治療後30日目には臨床兆候は改善し,右心室圧も低下していた(収縮期/拡張末期;20/-2.3 mmHg)。また,血中NT-proBNP濃度は1,245 pmol/Lに低下していた。本症例では,右心不全に伴う右心室圧の上昇によって血中NT-proBNP濃度が上昇していたと推察される。