著者
田坂 修二 深谷 和義
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B 通信 (ISSN:09135715)
巻号頁・発行日
vol.70, no.7, pp.p780-790, 1987-07
被引用文献数
1

衛星パケット通信網の性能評価に関しては,既に多くの研究が行われている.しかし,そのほとんどが送達確認応答パケット(ACK)の存在を無視している.本論文は,衛星パケット通信用多元接続プロトコルの中でも,比較的実用性が高いと考えられるスロット付アロハ予約チャネルを用いた予約プロトコル(アロハ形予約プロトコル)を採用したシステムにおけるACK問題を解析したものである.本システムでは,ACKと予約パケットは同一のサブフレームで送信される.ACKの衝突が生じうる通常のACK伝送方式の解析に加えて,無衝突ACK伝送を実現する一つの優先ACK方式を新たに提案し,その解析も行っている.解析には,平衡点解析の手法を用いている.非優先および優先の両ACK方式について,スループットと平均応答時間を求め,システムの安定性も評価している.また,ACKトラヒックの存在が最適フレーム長の決定に及ぼす影響について考察し,その影響は低負荷では小さく,高負荷になると大きいことを示している.更に,ACKに優先権を付与することによって,システムの安定性は増大し,性能全搬が改善されることも示している.
著者
松本 正
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B 通信 (ISSN:09135715)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.p33-40, 1988-01
被引用文献数
2

移動通信におけるディジタル信号伝送では,マルチパスフェージングによる符号誤りを改善する方法としてブロック符号による誤り制御が有効である.Chaseは,channel measurement information(CMI)を用いるブロック符号の効率的な軟判定復法を提案している.本論文では,Chaseの第2アルゴリズムについてCMIとして受信波包絡線レベルを用いる方法の,レイリーフェージング下でのワード誤り率特性を検討した.まず,ビット間の受信波包絡線が独立に変動すると仮定し,受信した1フレームで消失としないビットの受信CNRの確率密度関数を導出して符号の代数的構造に依存しない上下界のワード誤り率を求め,計算機シミュレーションにより理論値の妥当性を確認した.次に,ビット間の受信波包絡線の変動に相関がある場合について,Golay符号を例に計算機シミュレーションによりワード誤り率特性を明らかにすると共に,受信CNRの変動を独立にし,誤りをランダム化するのに必要なビットインタリーブのサイズを求めた.