著者
田畑 武夫 篠原 寿子
出版者
東九州短期大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:0918323X)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.97-103, 1992-03-20

冬虫夏草とは,昆虫のサナギや幼虫あるいは成虫に寄生する特性をもつ菌類を総称して言う。フユムシナツクサタケ(中国名 : 冬虫夏草)は,古来から漢方薬において著名な強壮薬として珍重されてきた。著者らは,中国で得た昆虫に寄生した冬虫夏草の子実体の一部から菌糸を分離した。この分離した冬虫夏草菌(Cordyceps sp.)の人工培養に関する基礎的なデーターを得ようとして菌糸の生長に対する各種培地,pHおよび温度等の影響について検討した。又,冬虫夏草の培養菌体が腐敗しにくいということから抗生物質の産生が考えられるので,培地の抽出物について抗菌活性試験を実施した。以上の実験結果から,各種培地では,マルトース培地とサナギエキス培地が良好な菌糸の生長を示した。又,菌糸の生長の至適pHは,7,8のアルカリ側で,至適温度は25℃であった。冬虫夏草のフスマ培養菌体のエタノール抽出物はグラム陽性細菌に顕著な抗菌活性を示した。
著者
篠原 寿子 田畑 武夫
出版者
東九州短期大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:0918323X)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.113-116, 1992-03-20

ヤマモモの樹皮は,皮膚病や捻挫の治療に用いられる生薬の楊梅皮としてよく知られている。又,それは我が国では古くから広く染料として利用されてきた。本研究では,ヤマモモの樹皮から抽出した配糖体のミリシトリンとその加水分解物であるアグリコンのミリセチンについて,抗菌活性試験を実施した。その結果,この両者は黄色ブドウ状球菌に顕著な活性を示した。特に,ミリセチンはこの菌に対する最小阻止濃度が100p.p.m.であった。
著者
納身 節子 中島 治子 七森 浩司
出版者
東九州短期大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:0918323X)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.39-45, 1994-12-20

スポーツ選手の栄養補給の処方を,種目バスケットの女子選手について作成するため本研究は栄養状態と疲労について,実態調査を行ったので報告する。被験者は,女子学生で年齢20歳,7名のバスケット選手である。調査項目は,食事調査・VO_2 maxの測定・心理テストは日本陸連科学部導入のPOMSテスト(原著 McNairら,猪股・山本訳)・生理学的な疲労は尿検査と血液検査をおこなった。結果を要約すると(1)食事調査では運動量に比し栄養素ではエネルギーの不足が顕著であり,食品群では蛋白質源食品・穀類・野菜類が不足であった。(2)VO_2 maxの測定値は高値で良好であった。(3)心理テストのPOMSテストでは,情緒混乱の得点が高く活動性の得点が低値で,精神疲労が見られた。(4)血液検査ではCPK・GOT・CPKの値は正常範囲で内蔵面の疲労は認められなかったが,血清鉄に低値を示した者が2名あった。以上の事から,オーバートレーニングにより,疲労の蓄積,貧血傾向が見られ,精神のストレスは身体状況と関連する事が大きく,栄養補給の必要を認めた。