著者
足達 義則
出版者
中部大学情報科学研究所
雑誌
情報科学リサーチジャーナル (ISSN:13402935)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.65-76, 2013-03

精神的なストレスがかかると瞬きの頻度が変わることが知られている。そして、そのメカニズムの研究がさまざまな研究機関で進められており、徐々にその機能も明らかにされつつあるが、未だ多くのことは謎に包まれている。本研究では、精神的なストレスがかかる状況やリラックスできる状況を設定し、瞬きの頻度がどのように変化するかを、瞬き自動計測システムを開発して測定した。緊張からの開放時や集中が途切れるときに瞬き頻度が増加することを見出した。また、ストレス下では交感神経が緊張して免疫力をはじめとして、生体機能が低下して病気の原因になるといわれて久しい。これに対して笑いが副交感神経を優位にしてNK 活性を改善することが知られている。しかも作り笑いでも効果があると言われている。そこで、その効果は呼吸にあると考え、平常時の呼吸と笑いを模倣した呼吸とにどのような違いがあるかを血脈波形のWavelet 解析で調べた。幾つかの特徴的な違いは確認できたが、どれが生体機能の平常化に効果があるかについてはこれからの課題として残っている。