著者
山本 啓三 宮島 佐介 コーシャル ラジンダー 山田 裕子 コーシャル マンジュリカ
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会年会予稿集 日本応用数理学会年会予稿集
巻号頁・発行日
pp.7, 2002-09-18 (Released:2003-03-18)

" 我々は前回の講演で高額所得のランキングがベキ乗を示す簡単なモデルを提案した。今回はそのモデルがどうしてベキ乗を示すのかについて検討した。我々はこのモデルがベキ乗を示すのはフラクタル性によるものと考えている。そのフラクタル性を示すの原因はその機構内に入れ子構造が存在するためと考えている。そこで、このモデル内にどのような仕組みで入れ子構造が構成されるのかを調査した。システム内の構成員が現在の所有額になるまでに何人の人たちと競争したか。その競争に参加した者を一つのtree構造のまとめ、そのtreeの大きさ(参加者数)とその件数についてのフラクタル性を調査することにより、構成されている入れ子構造を見つけることができた。 treeの大きさ=(順位)^-1.96 , treeの数=(treeの大きさ)^-1.57"
著者
山本 啓三 宮島 佐介
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.133-138, 2001
被引用文献数
2

経済現象の一例として、毎年5月に発表される前年分の高額納税者リストを取り上げ、その納税額と順位の関係を考えた。これは複雑な入れ子構造的経済活動の結果の一側面であり、フラクタル的な規則性があると考ている。全国、都道府県別の高額納税額順位リストより、次の特徴を得ている。高額納税額はその順位に対してベキ乗則となり、その全国のベキ乗則の指数は米国のCEOの給与と賞与のみから得られる指数と一致している。又、各都道府県のベキ乗則の指数はその地域の経済活動の指標となり得ることも示唆している。
著者
山本 啓三 宮島 佐介 山本 洋 大月 俊也 藤原 明広
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.86-91, 2007-03-15

我々はすでに高額所得のランキングがベキ乗を示すモデルを提案し,実際の高額所得分布をよく表現していることをシミュレーションにより確かめている.本報告ではそのモデルの拡張として,各競争における投資額に異なる競争ルールを導入しシミュレーションすることにより,所得の分布に異なるベキ乗指数を示す分布が得られた.また,マスタ方程式を解くことにより,上記ルールのベキ乗指数を解析的に導出した.A model for power-law problem in high-income distribution is proposed by changing competition rules, such that allocate different amounts of resources to winners and losers in economic competitions from our original model, which induces different power-law exponents. We have obtained the above power-law exponents analytically by solving the master equation.