著者
吉野 豊 前田 雅量
出版者
兵庫県立農林水産技術総合センター
雑誌
兵庫県立農林水産技術総合センター研究報告 森林林業編 (ISSN:13477749)
巻号頁・発行日
no.53, pp.5-9, 2006-03

強度に間伐(間伐本数率:55.5%)後、落葉広葉樹苗木を樹下植栽したスギ人工林で9年間の下層植生の変化と、それが植栽苗木の成長に及ぼす影響、および間伐による上木の肥大成長促進効果を検討した。対照区(無間伐区)では、試験開始前に林床植生はほとんど認められなかった。一方、間伐区では試験開始前の林床植生の種数は23種と少なく、植栽後に苗木の成長を阻害したと思われるものは、局所的に分布したチマキザサでのみであった。しかし、間伐2年目には、多年草、落葉低木、落葉高木などを主に種数は56種と著しく増加した。このうち植生高からみて植栽直木の成長を姐害したと思われるものは、チマキザサ、タニウツギ、ヨモギなど少数であり、分布範囲も局所的であった。この結果から、林内の植生量は少なく下刈が軽減できることがわかった。上木の胸高直径の肥大成長をみると、間伐区は対照区に比較して上位の径級に移行した割合が多く、平均胸高直径も有意に大きく、強度間伐による顕著な肥大成長の促進効果が認められた。強度に間伐した相対照度40%程度のスギ壮齢林内に下木を植栽する方法は、林床植生の種・量は増えるが、下刈りが軽減でき省力的に更新樹を育成できるうえに、上木の肥大成長を促進することによって、将来長伐期の択伐林型に誘導するのに適した施業法といえる。