著者
安斎 孝之 樋口 博夫 茂木 国男 庄司 典嗣 吉野 豊 大関 好明 信永 利馬
出版者
獣医麻酔外科学会
雑誌
獣医麻酔 (ISSN:02852209)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.11-18, 1981-04-01 (Released:2010-09-09)
参考文献数
12

今回, エソトノックス麻酔器を用いて, アネソキシン-50を吸入させ2, 3の実験用動物種のbehaviorに対する影響について観察し, 更にイヌにおいては一般所見, 血液性状, 血液ガスに及ぼす影響について検討した。1.behaviorについては, イヌでは吸入中は体動がなく催眠効果が認められたが外科的深麻酔状態が得られなかった。日本家ネコ, カニクイザルにおいては数分間~10数分間にわたって催眠効果が見られたに過ぎなかった。マウス, ラット, 文鳥においては全くbehaviorに変化は認められなかった。2.臨床所見では心拍数において吸入開始後減少する傾向が認められた。3.血液分のうち, 赤血球数, 白血球数, ALb, Hb, クレアチニン, BUN, sGPTなどについては, 経時的に著変が認められなかった。4.ヘマトクリット値においては, 硫酸アトロピンのみの前処置群で吸入中の減少傾向が認められた。5.血糖においては, 吸入中の上昇傾向が見られ, 特に吸入開始後20分で顕著であった。なお吸入用のgasmaskのsettingにおいても上昇が認められた。6.血液pHおよび血液ガスにおいては, 軽度の血液pH液の低下傾向とPCO2の上昇が見られ, 呼吸性acidosisの様相を呈した。またPO2で有意の上昇が見られ, 特にPaO2において吸入開始後20分より160mmHg以上の顕著な上昇を示した。以上述べたとおり, アネソキシン-50の吸入によりコンベレン前処置群においても非前処置群においても生体に何らかの影響を与えることは避けられないが, その影響は軽微であり, 臨床において使用する上で危険と思われる所見は認められなかった。
著者
吉野 豊 前田 雅量
出版者
兵庫県立農林水産技術総合センター
雑誌
兵庫県立農林水産技術総合センター研究報告 森林林業編 (ISSN:13477749)
巻号頁・発行日
no.53, pp.5-9, 2006-03

強度に間伐(間伐本数率:55.5%)後、落葉広葉樹苗木を樹下植栽したスギ人工林で9年間の下層植生の変化と、それが植栽苗木の成長に及ぼす影響、および間伐による上木の肥大成長促進効果を検討した。対照区(無間伐区)では、試験開始前に林床植生はほとんど認められなかった。一方、間伐区では試験開始前の林床植生の種数は23種と少なく、植栽後に苗木の成長を阻害したと思われるものは、局所的に分布したチマキザサでのみであった。しかし、間伐2年目には、多年草、落葉低木、落葉高木などを主に種数は56種と著しく増加した。このうち植生高からみて植栽直木の成長を姐害したと思われるものは、チマキザサ、タニウツギ、ヨモギなど少数であり、分布範囲も局所的であった。この結果から、林内の植生量は少なく下刈が軽減できることがわかった。上木の胸高直径の肥大成長をみると、間伐区は対照区に比較して上位の径級に移行した割合が多く、平均胸高直径も有意に大きく、強度間伐による顕著な肥大成長の促進効果が認められた。強度に間伐した相対照度40%程度のスギ壮齢林内に下木を植栽する方法は、林床植生の種・量は増えるが、下刈りが軽減でき省力的に更新樹を育成できるうえに、上木の肥大成長を促進することによって、将来長伐期の択伐林型に誘導するのに適した施業法といえる。
著者
吉野 豊
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.82, no.1, pp.91-94, 2000-02-16
参考文献数
22
被引用文献数
1

囗長時間がオオバヤシャブシ(Alnus sieboldiana)の伸長成長と花芽分化に及ぼす影響を調査した。野外に定植された8年生の供試木を夏至から12月まで夜間に蛍光灯で補光し, 24時間日長とした(CL区)。一方, 自然の日長条件下のオオバヤシャブシを対照区とし(Cont区), 4月から12月まで両区の伸長成長量と花芽の分化状況を調査した。Cont区では, 枝のシュートの伸長成長は6月下旬に緩慢となって7月に停止したが, 主軸のシュートの伸長は9月まで持続し, 主軸の方が伸長期間が長かった。また, Cont区の枝では7月に伸長成長が停止するとともに雄花芽の形成が認められた。一方, CL区の枝の伸長成長は10月下旬まで持続し, 花芽形成が著しく抑制された。しかし, 10月末になると, CL区でも伸長成長は停止し, 休眠芽が形成された。囗長時間が短くなり始める時期に花芽が分化し, 長日条件下におくと花芽分化が抑制される現象から, オオバヤシャブシの花芽分化は主として光周性により支配されており, 限界日長時間が約15時間で枝の伸長成長が低下し, 花芽を分化する短日植物であると思われる。また, 通常の花芽分化時期ではない10月に少数の雄花芽の形成が認められたことから, 気温も花芽分化に補足的に影響しており, 低温を感知して花芽が形成される場合もあることがわかった。