著者
三道 弘明
出版者
神戸学院大学
雑誌
神戸学院大学経営学論集 (ISSN:13496727)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.129-136, 2005-03-20

化学製品などの生産工程の最終段階で,製品の重量を秤で測定し,結果を製品に記載するという工程が存在する場合がある.このとき,計量作業中に秤に狂いが発生し,製品に記載された重量と実際の重量が異なってしまうことが少なくない.ここでは,作業の直前である朝と直後である夕方の1日に2度,秤に対して点検を行い,夕方の点検で秤に異常が検出された場合には,これまでに計量した製品を計り直すという状況を考える.なお,計り直した製品は,翌日朝の点検を待たずにそのまま出荷される.しかしながら,計り直し作業中に再度秤が狂ってしまうこともあり,この場合には記載重量と実重量が異なったまま製品を出荷することとなる.但し,秤に対する点検は調整作業と同じ作業であり,点検が終了した秤は正常な状態にあるものとする.本研究では,こうした状況に対して,計り直しの際にすべての製品を再計量するのではなく,最後に計量した製品から過去に遡って一定の割合だけを計り直すことを考える.この上で,どれだけの量を計り直しすればよいかという計り直しの問題を取り上げ,その離散型数理モデルを構築した.ここでは,1日に計量すべき製品数をn(n=1,2,…)とし,夕方の点検で秤に異常が認められた場合には,最後に計量した製品から遡及してr(r=0,1,2,…,n)個だけ計り直すという方策を前提に,最適な計り直し個数の存在条件を明らかにした.